元記事
記事タイトル
This Coffee Bike Makes $275/Hour (70% Profit Margins)
掲載サイト
Side Hustle Nation
出演者
Vlad Priadko
公開日
2026年8月13日
元記事URL
https://www.sidehustlenation.com/coffee-bike/
この記事で紹介されているVlad Priadkoは、電動アシスト付きカーゴバイクにエスプレッソマシンなどを載せ、店舗を持たずにコーヒーを販売する事業を始めました。
開始から8年で100万杯以上を販売し、累計売上は300万ドル超。さらに、自ら開発したコーヒーバイクを他の起業家へ42台販売しています。これらは本人へのインタビューに基づく数字であり、監査済みとは限りません。Side Hustle Nationにはスポンサーやアフィリエイト収益もあります。
3分で要約
Vladは、もともとコーヒー好きだったわけではありません。
見ていたのは数字でした。
当時、約5ドルで売れるコーヒーの材料費は約1ドル。一方、普通のカフェを開けば、家賃、内装、設備、固定人員などの費用がかかります。
そこで考えたのが、
「店舗をなくせば、コーヒーの高い商品粗利を残せるのではないか」
という発想です。
本人によれば、単独運営時の利益率は70〜80%程度でした。
最初は海外から移動式カートを購入しました。
ところが、営業許可について事前確認しておらず、現地の保健当局からそのままでは認可できないと言われます。実際に営業できるようになるまで約1年かかりました。
ようやく営業を始めても、最初の立地は失敗します。
地下鉄駅とバスターミナルの間で大量の人が通る場所でしたが、誰もコーヒーを買いません。
理由は、人が少なかったからではありません。
全員が急いでいたからです。
2ブロック離れた、電車を降りた人がオフィスへ向かう場所へ移ると、売上は5倍になりました。
ここから事業が変わります。
近隣のオフィス約10社へ営業し、
10〜11時はA社、11〜12時はB社、12〜13時はC社
という形で巡回するようになりました。
1社あたり約150ドル、3社で1日450〜500ドル。4〜5時間なので、売上ベースでは時給約100ドル。豆、牛乳、カップなどを引いた単独運営時の利益は、本人の試算で時給約70ドルでした。
しかし、本当に収益性が高かったのは、その先でした。
コーヒーではなく「体験」を時間貸しする
オフィス巡回を続けるうちに、結婚式、誕生日、企業イベントなどへ呼ばれるようになります。
ここで料金体系を変えました。
1杯いくらではありません。
1時間275ドルです。
1台で現実的に提供できるのは1時間約50杯。満杯まで提供しても1杯あたり約5.5ドルになりますが、イベント契約の利益率は70〜95%になることがあるとしています。現在では、イベントがバンクーバー事業の売上の半分以上を占めています。
象徴的なのが、5時間1,500ドルのVIPイベントです。
参加者は約10人。実際に提供した飲み物は約30杯で、材料費は約30ドルでした。
顧客は30杯のコーヒーに1,500ドルを払ったわけではありません。
**「会場にバリスタ付きのコーヒーバイクが現れる体験」**を買っています。
ここで商品そのものが変わっています。
コーヒーを売る小売業から、イベントサービス業になったのです。
最後には「広告媒体」になった
さらに大企業から、バイク全体をブランドカラーでラッピングしてイベントへ置きたいという依頼が入るようになります。
DoorDashの案件では、コーヒーすら提供せず、ブランド仕様のバイクからFIFA関連グッズを配りました。
それでも顧客は、通常のコーヒーイベントと同じ水準の料金を払いました。
企業が欲しかったのは飲み物ではありません。
人目を引き、人が集まり、写真を撮りたくなる移動式のブランド接点でした。
つまり同じ設備が、
コーヒー販売
→イベント体験
→企業プロモーション
と、顧客を変えることで単価の違う商品へ進化しています。
主要な収益モデル
現在の収益源は複数あります。
通常のコーヒー販売、オフィス巡回、イベント、企業プロモーション、そしてコーヒーバイクそのものの販売です。
面白いのは、事業が成長するにつれて「杯数」が収益を決める比重が下がっていることです。
イベントなら50杯でも10杯でも、基本は時間料金です。
ブランド案件なら、コーヒーを一杯も売らなくても売上になります。
さらに現在は、完成したコーヒーバイクを他の起業家へ販売しています。
42台を28人のオーナーへ販売済みで、フランチャイズにはせず、ロイヤルティも徴収していません。代わりに豆、カップ、Webサイト制作などの追加商品を販売できる形にしています。
自分でコーヒーを売るところから、商売の道具そのものを売る事業へ進んでいます。
開始コスト
店舗型カフェよりは軽いものの、完全な低資本事業ではありません。
本人によれば、自分で工夫して作れば約1万ドルから開始可能です。一方、現在製造している本格的な設備は2万〜2万5,000ドル相当です。
したがって、いきなり完成形を購入するのは危険です。
設備投資より先に、需要を検証する必要があります。
必要スキル
高度なバリスタ経験が最重要という事業ではありません。
Vlad自身、開始前に受けた専門教育は2週間のバリスタ講座でした。
むしろ必要なのは、営業、立地判断、イベント獲得、原価計算、衛生管理、設備運用です。
特に重要なのは、
どこへ行けば、1時間あたりの利益が最も大きくなるか
を考える力です。
人通りが多い場所より、買う時間と理由がある場所。
通行客より、イベント主催者。
さらに一般イベントより、企業の広告予算。
顧客を変えるたびに、同じコーヒーバイクの収益性が変わっています。
他人が見落としていたポイント
他人は、移動販売を「家賃の安いカフェ」と見ます。
しかしVladは、固定店舗をなくすことで、顧客がいる場所そのものを選べる事業にしました。
普通のカフェは、店を出した瞬間に立地が固定されます。
人が来なければ、広告を出して店へ呼ばなければなりません。
コーヒーバイクは逆です。
客がいる場所へ自分から移動できます。
しかも、さらに重要なのは、途中で「コーヒーを売る事業」から離れたことです。
他人はコーヒー1杯5ドルを見ていました。
しかし事業者は、その場に移動式カフェを出現させること自体には、1時間275ドルを払う顧客がいることを見つけました。
ここが最大の転換点です。
日本ならどう応用できるか
日本で同じ形を考えるなら、公道で一杯ずつ販売するより、企業やイベントへ出張するBtoB型から検証する方が現実的です。
たとえば、結婚式、企業の周年行事、展示会、住宅展示場、高級車ディーラー、商業施設の催事などです。
商品もコーヒーに限定する必要はありません。
抹茶、クラフトティー、ノンアルコールカクテル、アイスクリームなどでも、
「その場に小さな専門店が突然現れる」
という価値は作れます。
食品を提供する場合は、営業形態や提供内容によって食品衛生法上の営業許可・届出や設備基準が関係します。自治体は営業開始前の保健所への相談を案内しており、自動車営業では給水タンク容量など、提供内容に応じた施設基準が設定される場合があります。設備を購入する前に、実際に営業する地域の保健所へ確認する必要があります。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★★
移動販売自体は珍しくありません。
しかし、コーヒー販売からイベント、広告媒体、設備販売へ、同じ資産の売り方を変えて単価を上げた点が外れ値です。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
コーヒー、イベント、企業広告はいずれも昔から存在する市場です。
新しい需要を作ったのではなく、既存支出の取り方を変えています。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★☆☆
完成設備を購入すると1万ドル以上かかるため、デジタル事業ほど小さく何度も試せません。
ただし、設備購入前にイベント主催者へ営業し、仮予約を取れば、投資前に需要を確認できます。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★★★
コーヒー自体の材料原価が低いうえ、固定店舗の家賃を持ちません。
さらにイベントでは杯数ではなく時間で販売するため、本人によれば70〜95%の利益率になる案件もあります。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
「固定店舗をなくし、顧客のいる場所へ商品を持っていく」という構造は他の商品にも応用できます。
ただし、食品営業許可、移動、天候、設備故障など、物理事業特有の制約があります。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、需要を確認する前に設備を買うことです。
2万ドルのバイクでも、月に数回しか稼働しなければ投資は回収できません。
次に危険なのが、人通りだけで立地を決めることです。
最初の失敗が示すように、「人が多い」と「買う人が多い」は違います。
許認可の確認不足も致命的です。
Vlad自身、設備を先に買ったため、営業可能にするまで約1年かかりました。
さらに、1杯ずつの販売だけに固執すると、営業時間と杯数が売上の上限になります。
イベントや法人契約へ進めるかどうかで、事業性は大きく変わります。
早期に確認したいKPI
見るべき数字は、販売杯数、1時間あたり売上、材料原価率、移動・設営時間、イベント受注率、再依頼率、設備稼働率です。
特に重要なKPIは、設備1台あたりの月間粗利益です。
時給275ドルでも、月に2時間しか稼働しなければ意味がありません。
設備価格に対して、毎月いくら利益を生む資産なのかを見る必要があります。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
設備を買う前に、
「3時間の出張エスプレッソバー」
という仮の商品を作ります。
価格は、たとえば5万〜10万円程度で反応を確認します。
最初の顧客候補
結婚式場、ホテル、イベント会社、住宅展示場、企業の総務・マーケティング担当など、イベントを繰り返し開催している事業者です。
最初の集客方法
30社程度へ直接提案します。
写真や完成設備がなくても、イメージ図と提供内容を見せ、
「この価格なら実際に呼びたいか」
を確認します。
投入する費用と時間の上限
検証期間は1か月。
30社へ営業し、設備購入前の調査費用は3万円以内に抑えます。
仮予約が取れたら、最初の数件はレンタル機材や簡易設備で運営し、実際の採算を測ります。
継続または撤退を判断する基準
30社へ提案して具体的な商談が3件未満なら、対象顧客か商品を見直します。
さらに、
収益=イベント件数×平均契約額+通常販売売上+企業案件売上-材料費-人件費-移動費-設備維持費-決済手数料-設備減価償却費
を試算し、設備投資を2〜3年程度で回収できる見込みがなければ、本格設備は購入しません。
需要が確認できた後は、個人イベントを大量に取るより、ホテル、イベント会社、広告代理店など、繰り返し案件を持つ企業との提携を狙います。
この事業の本質は、コーヒーを移動販売することではありません。固定店舗から重いコストを取り除き、顧客のいる場所へ出向ける設備を、飲み物、イベント体験、広告媒体へと売り方を変えながら収益化することです。


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