元記事
記事タイトル
I Faced This Problem Firsthand And Built A $15K MRR PDF-Generation API Tool
掲載サイト
Starter Story
出演者・創業者
Jacky Tan
公開日
2023年4月4日
元記事URL
https://www.starterstory.com/stories/craftmypdf
この記事で紹介されているJacky Tanは、PDFや画像を自動生成する「APITemplate.io」と「CraftMyPDF」を運営しています。
取材時点で、2つのサービスを合わせた月間継続収益は1万5,000ドル。創業から約2年間で、200万件以上のPDFや画像を生成したと本人が説明しています。Starter Story上では、創業者1人、従業員1人の小規模事業として紹介されています。いずれも本人へのインタビューに基づく数字であり、監査済みとは限りません。
現在のAPITemplate.ioも運営が続いており、公式サイトでは累計3,000万件以上のPDF・画像を生成したとしています。
3分で要約
Jackyが目を付けたのは、非常に地味な仕事でした。
PDFを作る作業です。
請求書。
見積書。
証明書。
レポート。
参加証。
顧客ごとの報告書。
企業では、同じフォーマットのPDFを何度も作っています。
たとえば研修会社なら、受講者100人に対して100枚の修了証を発行します。
フォーマットは同じです。
違うのは、氏名、講座名、日付などだけです。
それでも人が作れば、ExcelやWordへデータを入れ、PDFに変換し、名前を付けて保存する作業を100回繰り返します。
Jacky自身も、コロナ禍に受けたフリーランス案件でPDF生成が必要になりました。
既存のPDF生成サービスはあったものの、使いやすいテンプレート編集機能が不足していると感じたことが、事業のきっかけになりました。
そこで作ったのがAPITemplate.ioです。
最初に請求書や報告書などのテンプレートを作っておき、名前、金額、日付などのデータを送ると、自動的にPDFが生成されます。
現在はREST APIだけでなく、Zapier、Make、n8n、Airtableなどとも接続できます。
Jackyは、事業を始める前に4つの条件を決めていました。
一つのことだけをする。
3か月以内に作れる。
BtoBである。
月額課金にできる。
この条件から、PDF生成APIという小さな市場を選びました。
最初の主要機能は1〜2週間で作り、その後約3か月かけて決済やAWSなどを組み込み、製品として公開しています。
主要な収益モデル
APITemplate.ioは、毎月生成できるPDFや画像の枚数に応じて課金します。
現在、PDF専用プランは年払い換算で月19ドルから。3,000枚までPDFを生成できます。
上位プランでは月69ドルで1万2,000枚、画像とPDFの両方を扱うプランでは月139ドルで2万件まで生成できます。
収益構造は、次のように分解できます。
収益=有料契約社数×月額料金-PDF・画像生成用サーバー費-保存・通信費-開発・保守人件費-外部サービス利用料-決済手数料-顧客サポート費-集客費
この事業では、PDFを1枚作るたびに人間が作業するわけではありません。
企業が毎月1万枚の請求書を作っても、システムが自動で生成します。
一方、利用量が増えればサーバー処理や保存費用は増えます。
そのため、無制限の定額ではなく、生成件数ごとに料金を分けています。
つまり、
利用量が増えるほど売上も増える一方、1件追加で発生する原価を十分に下回る価格を設定する
ことが利益を残す条件になります。
開始コスト
Jackyはもともとソフトウェア開発の経験がありました。
そのため、PDF生成APIの中核部分を自分で作っています。
最初から大規模なサービスを作ったわけではありません。
本人は、次に作る商品について「3か月以内に構築できること」を条件にしていました。
必要になるのは、
- PDF生成エンジン
- テンプレート
- API
- サーバー
- 決済
- ユーザー管理
- 外部サービスとの連携
などです。
店舗や在庫は必要ありません。
ただし、この事業では安定性が重要です。
請求書や契ーヤク書、報告書を自動生成している会社にとって、PDFが突然作れなくなることは業務停止につながります。
現在の公式サイトでは、同期・非同期処理、Webhook、複数地域のAPI拠点なども提供されています。
必要スキル
中心になるのはソフトウェア開発力です。
ただし、最も重要なのは、
どの帳票なら、毎回人間が作る必要がないかを見つけること
です。
たとえば会社案内のように、毎回デザインから考えるPDFは自動化に向きません。
一方、
- 請求書
- 見積書
- 証明書
- 給与明細
- 検査報告書
- 点検報告書
- 月次レポート
のように、
型は同じで、中の数字や名前だけが変わる書類
は非常に自動化しやすい。
もう一つ必要なのが、既存業務との接続です。
PDF作成だけを自動化しても、担当者が毎回データをコピーしなければなりません。
そのためAPITemplate.ioは、Zapier、Make、n8n、Airtableなどと連携しています。
他人が見落としていたポイント
他人は、PDFを「完成した書類」と見ています。
Jackyは、その手前にある大量の反復作業を見ていました。
Excelの数字をコピーする。
Wordへ貼る。
名前を変える。
PDF保存する。
メールへ添付する。
一つの作業は数分です。
しかし毎月1,000件行えば、大きな人件費になります。
顧客が買っているのは、PDFを作る機能ではありません。
業務データが発生したら、人間が触らなくても必要な書類が完成する状態です。
さらに興味深いのは、APITemplate.ioとCraftMyPDFの分け方です。
両方ともPDF生成サービスですが、対象顧客を変えています。
APITemplate.ioはHTMLやCSSを扱える比較的技術者寄りの顧客。
CraftMyPDFは、ドラッグ&ドロップでテンプレートを作りたい非技術者向けです。
同じ技術でも、利用者ごとに入口を変えれば別の商品になります。
日本ならどう応用できるか
日本でも、PDFを手作業で大量に作っている業務は非常に多くあります。
ただし、汎用PDF生成サービスをそのまま作っても、既に競合があります。
狙うなら、業界と帳票を限定する方が現実的です。
たとえば、
- 不動産会社の物件提案書
- 建設会社の工事完了報告書
- 清掃会社の作業報告書
- 点検会社の定期点検報告書
- 研修会社の受講証明書
- 人材会社の候補者紹介資料
- 宿泊施設の団体見積書
- 士業事務所の定型案内文書
などです。
たとえば、現場担当者がスマートフォンで写真を撮り、フォームへ入力する。
すると、
写真、店舗名、担当者、作業日、コメント
が所定の場所に入り、会社のロゴ付きPDF報告書が自動生成され、顧客へメールされる。
ここまでを一つの商品にします。
つまり、「PDF作成API」を売るのではありません。
○○業界の報告書作成を終わらせるサービス
として販売します。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★☆
PDF作成自体は非常に古い機能です。
しかし、その一機能だけに絞り、企業の自動化基盤として月額販売した点が優れています。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
企業は何十年も、請求書、報告書、証明書、帳票を作っています。
新しい需要を作る必要はありません。
既存の事務作業をソフトウェアへ置き換えています。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★★☆
業種や帳票を一つに絞れば、小さく試せます。
既存のPDF生成APIやノーコードツールを利用すれば、独自の生成エンジンを作らなくても検証できます。
一方、本格的なAPI基盤を自社開発する場合は一定の技術投資が必要です。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★★★
同じシステムを複数社へ販売でき、顧客ごとに書類を作る人員を配置する必要がありません。
利用量に応じてサーバー費は増えますが、人件費中心の帳票作成代行よりは規模を拡大しやすいモデルです。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
「同じ書式に違うデータを入れている仕事」は、多くの会社に存在します。
一方、汎用的なPDF生成市場にはすでに多数のサービスがあります。
後発なら、特定業界や特定業務まで絞る必要があります。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、顧客ごとに違う帳票を毎回作ることです。
一社ごとに、
「この位置を3ミリ変えてほしい」
「うちだけ特殊な表を追加したい」
「この帳票だけ別の処理にしてほしい」
と対応し続ければ、SaaSではなく受託開発になります。
次に危険なのが、書類生成の失敗です。
請求金額が間違う。
顧客名が違う。
ページが欠ける。
こうしたミスは、SNS画像の生成失敗より影響が大きくなります。
また、帳票に個人情報や機密情報が含まれる場合は、保存場所、削除期間、アクセス権、セキュリティも重要です。
現在のAPITemplate.ioはSOC 2 Type II監査や地域別データ処理にも対応しています。
早期に確認したいKPI
見るべき数字は、
- 有料契約社数
- 月間生成件数
- 1件当たり生成原価
- 生成成功率
- 1社当たり粗利益
- 月次解約率
- 顧客サポート時間
です。
最も重要なKPIは、
1社あたり毎月何時間の事務作業を削減できたか
です。
PDFの生成枚数が多くても、それまでボタン一つで作れていた書類なら価値は小さい。
人が毎回コピー、入力、保存していた時間をどれだけなくせたかが、顧客が料金を払い続ける理由になります。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
一つの業界、一つの帳票だけを対象にします。
たとえば、
点検会社向けに、Googleフォームの入力内容から写真付き点検報告書を自動生成するサービス
です。
最初の顧客候補
現在、現場から送られてきた写真や数字を、事務担当者がWordやExcelへ転記してPDF化している会社です。
最初の集客方法
対象企業10社に、
毎月、同じ形式で何枚くらいPDFを作っていますか
と聞きます。
実際に使っている帳票を見せてもらい、まず1種類だけ自動化します。
投入する費用と時間の上限
検証期間は1か月。
対象企業は10社。
初期費用は3万円以内とします。
独自のPDF生成システムは作らず、既存API、Googleフォーム、スプレッドシート、n8nやMakeなどを組み合わせます。
継続または撤退を判断する基準
10社中3社以上で共通した帳票作成業務があり、2社以上が月額料金を支払うなら継続します。
収益構造は、次の式で確認します。
収益=有料契約社数×月額料金-PDF生成API費-自動化ツール費-保存・通信費-決済手数料-保守費-顧客対応費
さらに、
顧客1社から得られる月額粗利益>その顧客の月間サポート人件費
になっていることを確認します。
この事業の本質は、PDFを作ることではありません。同じ型の書類へ人間が何度もデータを転記する仕事をなくし、業務データが発生した瞬間に完成書類まで自動で作られる状態を提供することです。


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