元記事
記事タイトル
How We Started A $200K/Month Mail Knife Sharpening Service
掲載サイト
Starter Story
著者
Marc Lickfett
創業者
Mikael Soderlindほか
公開日
2020年3月14日
元記事URL
https://www.starterstory.com/mail-knife-sharpening-service
元記事では、米国の郵送型包丁研ぎサービス「Knife Aid」が、2020年1月時点で月商25万ドルに達していたと創業者が説明しています。記事タイトルには月商20万ドルとありますが、本文では25万ドルとされており、数字に不整合があります。いずれも創業者へのインタビューに基づく申告値であり、監査済みの業績とは限りません。
Starter Storyには会員登録や有料サービスへの案内など、商業的な導線があります。また、この記事は2020年時点の事業状況を扱っているため、現在の売上や利益を示すものではありません。
3分で要約
Knife Aidは、包丁を専用の梱包材に入れて郵送すると、職人が研いで返送してくれるサービスです。
創業者のMikael Soderlindは、包丁研ぎそのものを発明したわけではありません。包丁研ぎは昔からある仕事ですが、顧客が店舗を探し、包丁を持参し、後日受け取りに行く必要がありました。
そこで、注文、梱包材の受け取り、発送、研磨、返送までを一つのサービスにまとめました。
2019年1月、まず家族や友人を対象に小さく始め、梱包方法や利用手順の問題を確認しました。その後、Facebook広告、Google広告、PR会社を使って認知を拡大。テレビ番組「Shark Tank」への出演も大きな転機になったと説明しています。創業後は月10〜30%で売上が伸び、2020年1月時点では月商25万ドルに達したとされています。
一方、開始前にはカリフォルニア州マリブの山火事で拠点が焼失し、開発していた専用封筒も失いました。そのため、予定していた2018年の年末商戦に間に合わず、開始が約3か月遅れています。
現在の公式サイトでは、4本、5本、7本、10本、14本の単位で注文でき、定期利用では10%割引になります。公式サイトは、累計100万本以上を研いだと表示しています。
主要な収益モデル
主な収益は、複数本をまとめた包丁研ぎ料金です。
売上は、次の式で考えられます。
注文数 × 1注文当たりの本数 × 1本当たり料金
公式サイトでは、7本の1回利用が89ドル、定期利用が80.10ドルと表示されています。定期便は90日、180日、1年ごとの周期を選べます。送料は料金に含まれています。
包丁は一度研げば終わりではありません。元記事では、9〜12か月ごとに研ぎ直す習慣があるため、再注文が期待できると説明しています。
さらに現在は、包丁研ぎだけでなく包丁の販売やギフトカードにも広げています。研ぎサービスで顧客との接点を作り、新品購入や贈答需要につなげる構造です。
開始コスト
元記事には、具体的な創業費用は明記されていません。
ただし、必要となるのは研磨設備、作業場所、職人、専用梱包材、往復配送、注文管理、保険、広告費です。
特に重要なのが梱包材です。刃物が箱を突き破れば、配送事業者や利用者に重大な事故が起こります。日本郵便も、刃の部分を堅牢な素材で保護し、内容物全体を緩衝材で包み、動かないように堅固な箱へ入れるよう求めています。条件を満たさない場合は、引き受けを断るとしています。
小さく始めるなら、全国向けサービスを最初から作る必要はありません。地域を限定し、月10件程度を対象に、梱包、集荷、研磨、返送の事故率と作業時間を検証するのが現実的です。
必要スキル
最も重要なのは、包丁を研ぐ技術です。
包丁には材質、刃の厚さ、片刃、両刃などの違いがあります。包丁の種類によって、角度や研ぎ方を変えなければなりません。
しかし、職人技術だけでは事業になりません。
受け取った包丁を個体ごとに管理する力、破損や紛失を防ぐ物流管理、顧客ごとの要望を記録する仕組み、研磨品質を均一化する基準も必要です。
さらに、刃こぼれや錆がどこまで修復可能かを事前に説明し、事故や期待値のずれを防ぐ顧客対応力が求められます。
他人が見落としていたポイント
他人は、包丁研ぎを職人が提供する作業として見ていました。
しかし、この事業者は、包丁を研いでもらうまでの面倒を見ていました。
顧客は、包丁が切れなくなっていることには気づいています。それでも、研ぎ店を探し、営業時間を調べ、包丁を持参し、再び受け取りに行くほど困ってはいません。
つまり、問題は需要がないことではありません。
一件当たりの金額が小さい割に、利用までの手間が大きすぎることです。
Knife Aidは、研ぎの技術だけでなく、注文方法、梱包、発送、返送までを商品化しました。顧客が買っているのは鋭い刃先だけではありません。
職人を探す時間、安全に持ち運ぶ負担、品質を見極める判断、受け取りに行く手間をなくすことにお金を払っています。
古い市場でも、取引コストを減らせば、新しい事業になります。
日本ならどう応用できるか
日本には刃物産地、包丁専門店、研ぎ職人が多く、技術面では十分に再現できます。
ただし、日本では近所の金物店、ホームセンター、包丁メーカーなどが研ぎサービスを提供しているため、単に「郵送で研ぎます」だけでは弱いでしょう。
対象を絞る必要があります。
たとえば、飲食店向けの定期回収、ホテルや給食施設の複数本一括管理、高級包丁専門、家庭向けの貸出包丁付きサービスなどです。
家庭向けでは、包丁を送っている間に料理ができないことが障害になります。代替包丁を同梱する、回収日を指定する、地域限定で集配するなど、空白期間をなくす工夫が必要です。
国内で包丁を発送すること自体は禁止されていませんが、安全な梱包が前提です。刃を堅牢なカバーで保護し、箱の中で動かず、外へ突き出ない構造を標準化する必要があります。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★☆
包丁研ぎそのものは、どこにでもある、中央値です。
この事例で外れ値になっているのは、職人の店へ顧客を呼ぶのではなく、包丁を郵送させたことです。
商品を変えず、取引方法を変えています。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
包丁は使えば切れ味が落ちます。
家庭、飲食店、ホテル、給食施設など、既に包丁を使っている顧客が存在し、研ぎ直しにも以前から費用が支払われています。
市場を教育する必要はありません。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★☆☆
小規模な地域サービスとしては検証できますが、専用梱包材、研磨設備、配送事故への対応が必要です。
顧客層、料金、本数、集配方法は何度も試せますが、包丁の紛失や作業事故が起これば損失と信用低下が大きくなります。
一般的な代行サービスより、安全管理の難度は高めです。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★☆☆
材料原価は大きくありませんが、職人の作業時間、往復送料、梱包材、再研磨、問い合わせ対応がかかります。
少ない本数を安く受けると、送料で利益が消えます。
一定本数をセットにし、1回の配送で複数本を処理することが粗利益を守る条件です。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★☆☆
注文受付、梱包、配送、検品、返送は標準化できます。
一方、研ぎ品質が特定の熟練職人に依存すると拡大できません。包丁の状態を分類し、作業手順と品質基準を作れるかが重要です。
どうなったら失敗するのか
最も危険なのは、1本から安く受け付けることです。
往復送料と梱包費は、包丁の本数が少なくても発生します。単価を下げるほど、注文が増えても利益が残らなくなります。
次に危険なのが、あらゆる刃物を受け付けることです。
高級和包丁、セラミック包丁、特殊な波刃、錆びた包丁まで対象を広げると、作業時間と事故率が読めなくなります。
紛失、刃こぼれ、顧客が期待した仕上がりとの違いも大きな死亡条件です。
「研げるかどうか」を受け取ってから判断するのではなく、対象外の商品や追加料金の条件を事前に明確にする必要があります。
早期に確認したいKPI
確認すべき数字は、1注文当たり本数、1本当たり作業時間、往復送料、再研磨率、破損・紛失率、再注文率です。
特に重要なKPIは、職人の作業時間と物流費を差し引いた1注文当たり粗利益です。
売上が伸びていても、配送費と再作業が増えていれば、事業は強くなっていません。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
対象を家庭用の両刃包丁3本セットに限定します。
特殊包丁、セラミック、激しい刃こぼれ、錆取りは対象外にします。
最初の顧客候補
料理教室の参加者、高級包丁を購入した顧客、地域の飲食店です。
特に包丁販売店と提携できれば、購入後のメンテナンスサービスとして提案できます。
最初の集客方法
最初は全国広告ではなく、包丁販売店、料理教室、地域の飲食店への直接営業が向いています。
「研ぎませんか」と売るのではなく、「購入後のメンテナンスを仕組み化しませんか」と提案します。
投入する費用と時間の上限
検証期間は3か月、受注は最大30件、対象地域は一つの都道府県に限定します。
専用の大規模設備や全国広告には投資しません。
継続または撤退を判断する基準
1注文当たり粗利益が目標を超え、再研磨率が低く、顧客の20%以上が次回利用を希望すれば継続します。
送料負担が大きい、問い合わせ対応に時間がかかる、包丁ごとの個別作業が標準化できない場合は、家庭向けをやめて飲食店の一括回収型へ変更します。
この事業の本質は、包丁を研ぐことではありません。職人仕事を、迷わず安全に利用できる流通商品へ変えることです。
次の副業アイデアを、海外の成功事例から探してみませんか。
週末起業、小資本ビジネス、一人で始められるサービスをまとめています。


コメント