100袋から始めて年商10万ドル超。「健康食品」ではなく毎朝の習慣に入り込んだターメリック入りコーヒー

シナモン入りコーヒー 未分類

元記事

記事タイトル
$0 to $100K in Year One: How This Anti-Inflammatory Coffee Brand Did It

掲載サイト
Side Hustle Nation / The Side Hustle Show Episode 744

著者・出演者・創業者
著者:Nick Loper
出演者:Eli Mash(Makor Coffee共同創業者)

公開日
2026年6月19日掲載、ページ上の最終更新日は2026年6月15日

元記事URL
https://www.sidehustlenation.com/anti-inflammatory-coffee/

Makor Coffeeは、ターメリック、カカオ、シナモン、ジンジャー、チャーガなどを加えたプレミアムコーヒーです。元記事では年商10万ドル超、月間継続売上(MRR)1.1万ドルと紹介されています。

これらは創業者本人へのインタビューをもとにした数字であり、第三者による監査済みの数値とは限りません。またSide Hustle Nationは、一部の紹介リンクから報酬を得る場合があることを明記しており、記事内にはスポンサーやMakor Coffeeの割引コードも掲載されています。

3分で要約

共同創業者のEli Mash氏は、約10年間、自宅でターメリックをコーヒーに入れて飲んでいました。そこから「毎朝飲むコーヒーを、少し健康志向のものに変えられないか」と考え、試作を進めます。ターメリックだけではなく、カカオ、シナモン、ジンジャー、チャーガなどを加え、商品化しました。

重要なのは、最初から工場を作らなかったことです。既存のコーヒー製造業者と組み、スパイスを扱うためのグラインダー約1,000ドルだけを負担。最小製造ロットも約100袋に抑えました。さらに支払いを製造後30日にする「Net 30」を交渉し、商品を販売してから製造代金を払える形に近づけています。

最初は約60人の友人・家族に商品を送り、割引コードを使ってShopifyから購入してもらうことで28〜30件のレビューを作りました。その後、健康・ウェルネス系のフォロワー3万人未満のInstagramアカウントへ地道に商品を送り、約1年間で50〜70人が投稿したといいます。

一方、立ち上げ直後には自己資金1万ドルを広告へ投入しました。しかし当時はレビューもSNS上の認知も十分ではなく、顧客獲得単価(CAC)は50〜55ドル。本人も広告を始めるのが早すぎたと振り返っています。その後、レビューやインフルエンサー投稿が増えるにつれ、CACは28〜30ドル程度まで下がりました。

そして事業モデルを強くしたのが定期購入です。1袋、2袋、3袋の定期便を用意し、送料無料やまとめ買いを組み合わせました。3袋発送しても1袋発送時より送料が約2ドルしか増えないため、まとめるほど物流効率が改善します。定期購入者は平均7〜8カ月、一部は18カ月継続しているとされています。

つまり、これは「珍しいコーヒーを売った事業」ではありません。

単発の商品販売を、毎朝消費される補充型商品へ変え、定期購入によって顧客獲得費を何カ月にもわたって回収するモデルにした事業です。

主要な収益モデル

この事業を単純化すると、

収益=

単品販売数×販売価格+定期購入者数×月間購入額+卸売上

-コーヒー豆代-スパイス代-製造費-包装費-送料-決済手数料

-定期購入システム費-広告費・紹介手数料-顧客対応費

となります。

元記事掲載時の価格は、豆の状態で30.95ドル、挽いた商品で32.95ドル。定期購入では5ドル引きとしていました。定期購入管理サービスにも月額費用と売上連動手数料がかかっています。

ポイントは、食品なので顧客が増えれば原材料費や製造費も増えることです。SaaSのように追加原価がほぼゼロになる商売ではありません。

その代わり、一度獲得した顧客が毎月買えば、初回獲得時に使った広告費を2回目、3回目以降の注文で回収できます。さらに複数袋を同梱すれば、1袋当たりの送料も下げられます。

だから、この事業で見るべきなのは1回目の注文でいくら儲かったかではなく、一人の顧客が何カ月残り、最終的にいくら粗利益を残すかです。

開始コスト

Makor Coffeeがうまかったのは、食品事業だからといって製造設備一式を持たなかったことです。

自社で必要だった特徴的な設備負担は約1,000ドルのグラインダー。製造は既存事業者へ委託し、最小ロット約100袋、しかも30日後払いにしました。

一方、その後1万ドルを広告へ投入しています。こちらは設備投資ではなく、売れば戻ってくる保証のない顧客獲得費です。

ここは分けて考える必要があります。

製造設備を持たないこと以上に、「売れるか分からない段階で消えてなくなる費用を増やさない」ことが重要です。

必要スキル

この商売で差がつくのは、コーヒーを作る技術だけではありません。

特に重要なのは、毎日飲める味へ調整する商品開発力、少量製造に付き合ってくれるOEM先との交渉力、送料まで含めた原価管理、定期購入の価格設計、レビューを蓄積する初期営業、そして食品表示や広告表現を適切に管理する能力です。

実際、Makor Coffeeではスパイスを混ぜたことで一般的なコーヒーフィルターを通る速度が遅くなるという、商品化して初めて分かる問題も発生しています。

アイデアより、「毎朝普通に使える商品」に仕上げる力のほうが重要です。

他人が見落としていたポイント

他人は「ターメリック入りの健康コーヒー」を見ます。

しかし、この事業者が見ていたのは、すでに存在する朝の習慣の中へ、小さな改善商品を差し込める余地です。

新しい健康習慣をゼロから作らせるのは難しい。毎朝サプリを飲んでもらう、新しい健康食品を調理してもらう、新しい運動を始めてもらうとなれば、顧客自身が行動を変えなければなりません。

しかしコーヒーなら、すでに飲んでいる人が大勢います。

「新しいことを始めてください」ではなく、「いつものコーヒーをこちらへ替えてください」で済む。

しかもコーヒーは飲めばなくなります。習慣性と消耗性が組み合わさるため、定期購入と非常に相性がいい。

さらに、広告より先に信頼を作る重要性も見逃せません。無名の商品に広告を当てても、顧客は商品名を検索し、レビューやSNSを確認します。そのとき何もなければ、高い広告費を払って連れてきた顧客を逃します。

他人は「健康に良さそうな変わり種コーヒー」を見ていた。しかし、この事業者は「すでにある毎日の習慣に、継続購入される小さな改善を差し込む余地」を見ていました。

日本ならどう応用できるか

日本で同じ構造を使う場合、米国での「anti-inflammatory」という表現をそのまま持ち込むことには注意が必要です。

機能性表示食品は、販売前に安全性や機能性の根拠などを消費者庁へ届け出たうえで、事業者の責任で科学的根拠に基づく機能性を表示する制度です。トクホとは異なり、国が商品ごとに機能性を審査・許可する制度ではありません。

また、一般の食品であっても、健康保持増進効果について合理的根拠のない表示や著しく誤認させる広告は、健康増進法や景品表示法上の問題になり得ます。

したがって、小さく検証する段階では「何に効く食品か」を強く訴求するより、まず嗜好品として成立するかを確認するほうが現実的です。

たとえば、「シナモン香る朝用ブレンド」「冬のジンジャーデカフェ」「スパイスを楽しむ仕事前のコーヒー」などです。

さらに重要なのは、ターメリックコーヒーそのものをコピーする必要がないことです。

応用できるのは、

「すでに毎日消費されている商品+小さな付加価値+補充型定期購入」

という構造です。

お茶、スープ、だし、味噌汁、シリアル、プロテイン、入浴料、ペット用品などにも同じ考え方を移せます。

7つの勝ち筋フィルター

① 他人が見落としている切り口があるか

評価:★★★★☆

健康食品を新しく飲ませるのではなく、既存のコーヒー習慣を書き換えています。

商品そのものより「既存習慣へ割り込む」という切り口が強みです。

② 古くからある市場か

評価:★★★★★

コーヒーもスパイスも古くからある市場です。

新しい需要をゼロから教育する必要がありません。

③ 小さく始められるか

評価:★★★★☆

既存製造業者を使えば、小ロットの試作、試飲、先行販売から始められます。

ただし食品なので、品質管理、表示、製造条件の確認は必要です。

④ 在庫を持たずに済むか

評価:★★★☆☆

物理商品なので在庫は発生します。

一方、小ロット製造と受注予測を組み合わせれば、大量在庫を避けることはできます。Makor Coffeeも約100袋から始めています。

⑤ ストック収益になるか

評価:★★★★★

消耗品と定期購入の組み合わせなので、非常に相性がいいモデルです。

一度獲得した顧客が7〜8カ月継続すれば、顧客獲得費を複数回の注文で回収できます。

⑥ 粗利益率は高いか

評価:★★★☆☆

デジタル商品ほど高くありません。豆、スパイス、製造、包材、送料、決済手数料が注文ごとに発生します。

そのため、高価格帯へのポジショニング、まとめ買い、定期購入による配送効率化が重要になります。

⑦ 再現性はあるか

評価:★★★★☆

「既存習慣+少し良い商品+定期購入」という構造は他の商品にも移せます。

ただし、食品は味が弱ければ継続しません。広告運用だけコピーしても再現できず、日常的に使いたくなる商品力が前提です。

どうなったら失敗するのか

最初の死亡条件は、初回は売れるが、2回目が売れないことです。

珍しさや広告で一度購入させても、味が強すぎる、価格が高い、普通のコーヒーより面倒となれば、定期購入モデルは成立しません。

二つ目は、CACを下げようとして広告へ先に大金を入れることです。レビューも検索結果もSNS投稿もない状態では、広告費だけが消えていきます。Makor Coffee自身が初期の1万ドル広告投資を早すぎたと振り返っています。

三つ目は、送料無料や低価格をやりすぎて物流費に利益を食われることです。

そして日本では、健康効果を強く訴求するほど、広告・表示管理の重要性も増します。

売れるかどうか以前に、「何を言って売るか」を管理できない事業は危険です。

早期に確認したいKPI

確認したいのは、初回購入率、2回目購入率、3カ月継続率、定期購入移行率、1注文当たり粗利益、送料率、CACです。

特に重要なのは、広告費だけを見ることではありません。

最も重要なKPIは「定期購入者1人あたりのLTV粗利益÷CAC」です。

顧客を3,000円で獲得できても、生涯で2,000円しか粗利益を残さなければ赤字です。逆に初回獲得費が高くても、何カ月も継続して十分な粗利益が残るなら成立します。

最初に取り組むアクション

最初に売る最小の商品

最初から10種類のフレーバーや本格的な定期便を作りません。

一種類の「朝用スパイスコーヒー」試飲セットだけを作ります。

5杯程度で味と再購入意向を確認できれば十分です。

最初の顧客候補

「健康意識の高い人」では広すぎます。

毎朝コーヒーを飲み、通常品より多少高くても味や原材料へお金を払っている30〜50代など、すでにプレミアムコーヒーを買っている層から試します。

ヨガ、ピラティス、パーソナルジム、美容室、コワーキングスペースなど、対象者が集まる場所で試飲してもらう方法も考えられます。

最初の集客方法

広告は使いません。

10店舗程度へ試作品を持ち込み、各店舗で数人ずつ試飲してもらいます。同時に小規模SNSアカウントにも商品を送り、広告ではなく実際の感想を集めます。

投入する費用と時間の上限

4週間、試飲50人、総額5万円以内。

この段階では大型ロットのOEM契約、専用設備、広告への大量投資は行いません。

継続または撤退を判断する基準

50人へ試飲してもらい、少なくとも10人が実際に有料購入し、そのうち3人以上が定期購入または再購入を希望するかを一つの仮説検証ラインにします。

反応が弱ければ広告を増やすのではなく、味、価格、対象顧客、利用場面のどこが間違っていたのかを見直します。

この事業の本質は、ターメリック入りコーヒーを売ることではありません。すでに存在する毎日の習慣へ小さな改善を差し込み、その消費行動を継続収益へ変えることです。

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