元記事
記事タイトル
How I’ve Grown a No-frills Service to $4,000/Mo in Revenue
掲載サイト
Indie Hackers
著者
Preston Lee、Courtland Allen
公開日
2019年2月4日
この記事で紹介される会員数、売上、費用は2019年当時の事業者本人の説明に基づいています。現在の事業規模や料金とは異なる可能性があります。また、元記事は事業者へのインタビューであり、数字が第三者によって監査されているわけではありません。
3分で要約
Preston Lee氏が運営していたSolidGigsは、フリーランサー向けの求人情報を毎週メールで届ける会員制サービスです。
世の中にある求人を大量に転載するのではありません。複数のフリーランス求人サイトを人が確認し、掲載案件の約98%を除外して、質が高いと判断した上位1〜2%だけを会員へ送ります。
対象は、デザイナー、開発者、マーケター、ライターなどでした。会員は、自分で何時間も求人サイトを巡回する代わりに、選別済みの案件一覧を受け取ります。加えて、営業文面、講座、専門家インタビューなどの教材も利用できました。
この事業の出発点は、長年運営していたフリーランサー向けメディアでした。
記事、ポッドキャスト、Facebookグループ、ニュースレターなどを提供していましたが、読者アンケートを取ると、8割以上が同じ問題を抱えていました。
それは、「質のよい仕事をどこで見つければよいか分からない」という悩みです。
ノウハウ記事を増やしても問題は解決しませんでした。そこで新しい教材を作るのではなく、実際に求人を探して選び、毎週届けるサービスを始めました。
最初の商品は驚くほど簡素でした。
約1週間で簡単な販売ページを作り、StripeとMailchimpをつなぎました。会員専用サイトもアプリもなく、求人情報は手作業でメールへ入力して送信していました。販売ページの制作外注費は約20ドルで、当初の料金は月額8ドルでした。
最初は一度に50人だけ募集し、品質を確認してから次の募集を行いました。その結果、数カ月で100人に到達します。
記事掲載時点では、約400人の会員がいて、月間継続収益は約4,000ドル、15カ月の累計売上は5万ドル超でした。月間費用は約1,500ドルで、外注スタッフ、メール配信、求人サイトの有料会員費、教材のライセンス料などが含まれていました。
主要な収益モデル
中心となる収益は、月額会員料金です。
基本式は、
月額料金× 有料会員数− 情報収集と運営にかかる費用
です。
会員が支払っているのは、求人情報そのものではありません。無料で見つかる情報を探し、比較し、怪しい案件を除外する時間を外注しています。
当初は月額8ドルで始め、その後13ドル、19ドルへ値上げしています。値上げ前に加入すれば旧料金を維持できると告知したところ、加入を迷っていた人が動き、売上が大きく伸びた月もありました。
一方で、求人一覧だけでは、仕事が見つかった会員が解約してしまいます。
そこで、営業、顧客獲得、価格設定などを学べる教材ライブラリを追加しました。単発の悩みを解決する情報だけでなく、長く使える学習資産を足すことで、継続期間を延ばそうとしています。
開始コストと必要スキル
この事業は、システム開発をほとんどせずに始められます。
必要なのは、販売ページ、決済、メール配信、情報収集に使う有料サイト程度です。元記事では、初期版を約1週間で作り、最初の数人が加入した段階で、ドメインやシステム費用を回収できたと説明されています。
ただし、参入コストが低いから簡単な事業というわけではありません。
必要なのは、情報を集める力より、捨てる力です。
何を良い案件と判断するのか。
報酬は妥当か。
発注者は信頼できるか。
応募する価値はあるか。
他の求人と重複していないか。
この判断基準が曖昧なら、単なる求人転載サービスになります。
また、会員が毎週お金を払い続けるためには、「今週も確認する価値がある」と思わせる編集品質が必要です。
他人が見落としていたポイント
多くの人は、この事例を有料求人メルマガと見ます。
しかし、この事業者が売っているのは情報ではありません。
インターネット上には、無料の求人情報が大量にあります。問題は情報が不足していることではなく、多すぎることです。
フリーランサーは、仕事を探すために複数のサイトを巡回し、条件を読み、怪しい案件を除き、自分に合うか判断しなければなりません。
1件の求人を探す労力は小さくても、それが毎週積み重なると大きな負担になります。
このサービスが売っているのは、求人情報ではなく、選ばなくてよい状態です。
他人は、「情報を増やせば価値になる」と考えていました。
しかし、この事業者は、情報を98%捨てることに価値があると考えました。
もう一つ重要なのは、最初から立派なプラットフォームを作らなかったことです。
商品の本質が「毎週、質のよい案件を受け取れること」なら、メールだけでも検証できます。
システムを作る前に、人力で価値を提供し、本当に継続課金されるかを確認した点が、この事例の強さです。
日本ならどう応用できるか
日本で応用する場合も、広いテーマではなく、情報収集に時間がかかる狭い領域へ絞る必要があります。
例えば、
- ホテル支配人や経理責任者の求人
- 補助金・助成金の新着公募
- 屋外広告や空き看板情報
- 自治体の入札案件
- 小規模M&A案件
- 商業物件や居抜き店舗
- 特定業界向けの公募・コンテスト
- 希少な中古機械や専門用品
などです。
日本版で重要なのは、単にリンクを集めないことです。
誰向けか。
なぜ候補に残したのか。
応募条件は何か。
締切はいつか。
注意点は何か。
まで整理して初めて、有料の選別サービスになります。
最初は月額課金にせず、週1回の有料レポートや、1カ月限定の試験会員から始めてもよいでしょう。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★☆
ニュースレターや情報配信は珍しくありません。
一方、情報を大量に集めるのではなく、ほとんどを捨て、特定の人に必要な案件だけを届ける点には外れ値性があります。
テーマが広いと既存メディアに負けるため、対象を狭くすることが前提です。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
仕事、物件、補助金、案件を探す需要は昔からあります。
新しい習慣を作る必要はありません。
無料情報が増えるほど、探す時間と判断負担も増えるため、選別の価値は残ります。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★★★
最初は販売ページ、決済、メールだけで試せます。
売れなければ、顧客、テーマ、料金、配信頻度を変えられます。大規模な開発や在庫も不要です。
一方、広告費を使う前に、無料版や少人数の有料会員で継続率を確認する必要があります。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★★☆
在庫や配送費はなく、会員数が増えても同じ情報を配信できます。
ただし、質を維持するには、毎週の調査、確認、編集が必要です。
テーマを広げすぎると調査時間が急増するため、粗利益率は情報収集範囲の狭さに左右されます。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
情報源、採用基準、除外条件、配信形式を決めれば、作業は標準化できます。
一方で、最終的な選別には編集者の判断が必要です。
再現性を高めるには、「なぜ採用したか」を記録し、評価基準を言語化する必要があります。
どうなったら失敗するのか
最大の失敗条件は、無料検索と違いが分からないことです。
リンクを並べただけなら、読者は検索エンジンやSNSで十分だと判断します。
もう一つの問題は、顧客が成功すると解約することです。
元記事でも、良い顧客を獲得したフリーランサーは、新しい求人が不要になり、退会するという構造的な課題が挙げられています。
そのため、案件一覧だけで終わらせず、応募文面、交渉方法、契約管理、継続受注など、次の課題まで支援する必要があります。
早期に確認したいKPI
確認したいのは、無料登録から有料会員への転換率、メール開封率、掲載案件のクリック率、月次解約率、会員1人あたりの調査時間です。
最も重要なのは、会員数より月次解約率です。
新規会員が増えても、毎月同じ人数が辞めれば、調査作業だけが残ります。
最初に取り組むアクション
最初の商品は、「特定分野の厳選案件を週5件届けるメール」に絞ります。
30件集めて5件に減らし、選んだ理由と注意点を短く添えます。
検証期間は30日、費用は1万円以内、作業時間は20時間以内に制限します。
まず無料読者を30人集め、そのうち3人以上が月額980円程度の有料版を購入すれば継続します。
登録はされるが有料化しない場合は、情報の希少性、対象者、配信頻度を見直します。
この事業の本質は、情報を集めることではありません。
大量の選択肢を捨て、顧客が見るべきものだけを残すことです。
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