元記事
記事タイトル
Turning a simple B2B solution into a $15k MRR SaaS by exploiting a market niche
掲載サイト
Indie Hackers
著者
Katie Hignett
出演者
Lukas Hermann氏(Stagetimer創業者)
公開日
2024年8月26日
元記事では、月間継続収益を1万5,000ドル、買い切り収入などを含む月間売上を約2万ドルと紹介しています。数字は創業者への取材に基づき、第三者による監査済みではありません。また、Indie Hackersは起業家向けの有料サービスを運営しており、記事では開発費や解約率などが十分に開示されていません。
3分で要約
Stagetimerは、講演会、映像収録、オンライン配信などで使う遠隔操作式のカウントダウンタイマーです。
登壇者の前に残り時間を表示し、離れた場所にいるスタッフがパソコンやスマートフォンから開始、停止、延長を操作できます。
創業者のLukas Hermann氏がこの事業を思いついたのは、映像収録をしていた友人が、タイマーを動かすたびに会場内を走っていたからです。
タイマー自体はすでに存在しました。しかし、離れた場所から操作し、複数の画面へ同じ時間を表示できる、簡単な製品がありませんでした。
最初に作った機能は単純です。
一台の端末で時間を設定し、発行されたリンクを別の端末で開く。それだけでした。
公開後、イベント制作関係者へ話を聞くと、登壇者だけでなく、音響、照明、映像、配信、進行担当なども同じ時間を見たいことが分かります。また、「残り5分」だけでなく、「昼休憩が遅れています」「次の講演は中止です」といったメッセージを送りたい需要もありました。
こうして、単なるタイマーから、イベント全体の時間認識を共有する道具へ発展します。
集客の中心はSEOと口コミでした。検索数は少なくても、「イベント用の遠隔タイマー」を探す人は、すでに具体的な問題を抱えています。そのため、少ないアクセスでも契約につながりました。
さらに、実際のイベントで使われる画面を他の制作会社やスタッフが目にし、利用現場そのものが次の営業機会になりました。
主要な収益モデル
当初は月額・年額契約だけでした。
しかし、イベント会社の中には、年に数回しか使わない企業もあります。そこで、短期間だけ利用できるプランや、オフラインで使える買い切り版を追加しました。
収益構造は次のとおりです。
継続契約+短期利用料+買い切りライセンス−開発・サーバー・顧客対応費
日常的に使う会社には年間契約、単発イベントには短期利用、通信環境が不安な現場にはオフライン版と、利用頻度に合わせて売り方を変えています。
開始コスト
具体的な金額は開示されていません。
最初の製品は、創業者が本業を続けながら、一般的なWeb開発技術で作りました。主な費用は、ドメイン、サーバー、決済サービス、テスト端末などです。
初期版の機能を絞れば、金銭的なコストは小さくできます。
一方、事業が育つと、さまざまな端末、ブラウザ、外部モニター、通信環境での検証が必要になります。ライブイベントで使う以上、本番中に止まらない信頼性への投資は欠かせません。
必要スキル
必要なのは、高度な機能を大量に作る力ではありません。
まず、現場の不便を「離れた場所からタイマーを動かしたい」という一工程まで狭くする力です。
そのうえで、最小限の開発力、利用者へのヒアリング、検索需要を見つける力が必要になります。
特に重要なのが安定性です。ライブイベントは、翌日に修正できません。本番中の障害は、顧客の信用に直接影響します。
他人が見落としていたポイント
多くの人は、この事例を便利なタイマーの話だと見ます。
しかし、顧客が買っているのは数字を表示する画面ではありません。
イベントでは、登壇者が数分長く話すだけで、休憩、次の出演者、配信、撤収まで遅れます。スタッフが口頭や無線で伝えると、情報が一部の人にしか届かず、認識のずれが起きます。
Stagetimerは、残り時間と進行メッセージを関係者の画面へ同時に表示します。
つまり、顧客が買っているのは、複数人で動く現場の時間認識を一つにそろえることです。
他人は、イベント管理全体を効率化しようとしていました。
しかし、この事業者は、高機能な業務機器の周辺に残された、単純だが本番で失敗できない一工程を見ていました。
日本ならどう応用できるか
同じタイマーを作る必要はありません。
注目すべきなのは、イベントや現場業務の中で、毎回スタッフが走ったり、電話したりして調整している仕事です。
例えば、控室への出演時刻通知、結婚式場の進行共有、展示会ブースの交代管理、撮影現場の呼び出し、研修講師への残り時間通知などがあります。
最初から専用ソフトを作らず、チャット、共有画面、QRコードなど既存ツールを組み合わせて人力で試せます。複数の現場で同じ需要が確認できてから、一工程だけを製品化します。
日本では、年に一度しか使わない企業も多いため、月額課金だけでなく、1イベント利用、30日間利用、運営支援込みなどの料金設計が有効です。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★★
タイマーは一般的ですが、イベント現場で複数端末から操作・共有する用途へ絞った点は外れ値です。技術ではなく、利用場面の限定によって価値を作っています。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
講演会、式典、撮影現場には昔から時間管理が必要です。すでに人や無線を使っている業務を、簡単な道具へ置き換えています。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★★☆
最初は小さなWeb画面だけで試せます。イベント、教育、スポーツなど、対象を変えながら検証もできます。
ただし、本番中の障害による信用損失は大きいため、安定性を軽視できません。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★★★
一度作った製品を複数の顧客へ提供できるため、拡張性があります。
ただし、個別要望や連携機器を増やしすぎると、開発・保守費が膨らみます。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
無料版から有料版への導線や検索集客は再現できます。
一方、成功の中心は、特定業界で毎回発生する狭い問題を発見したことです。画面だけをまねても再現できません。
どうなったら失敗するのか
最大の失敗条件は、顧客の要望をすべて追加し、イベント管理全体を作ろうとすることです。
もう一つは、月額課金にこだわることです。年に一度しか使わない顧客へ毎月料金を求めても売れません。
無料版を便利にしすぎ、有料版へ移る理由をなくすことにも注意が必要です。
早期に確認したいKPI
確認したいのは、登録者数ではなく、本番で使われた回数です。
見るべき指標は、有料転換率、再利用率、短期利用と年間契約の比率、本番中の障害件数、問い合わせ対応時間です。
特に重要なのは、一度試した顧客が、次のイベントでも使うかです。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
別室にいる登壇者へ、開始時刻と残り時間を共有する仕組みに絞ります。
最初の顧客候補
小規模セミナー会社、動画制作会社、貸会議室、結婚式場、企業研修担当者です。
最初の集客方法
サービスを売る前に、進行中にスタッフが走る場面や、伝達漏れが起きる場面を聞きます。一社の現場で試作品を使ってもらいます。
投入する費用と時間の上限
検証期間は45日。費用は5万円以内、開発は40時間以内とし、専用アプリは作りません。
継続または撤退を判断する基準
3回以上のイベントで使われ、2社以上が再利用を希望し、1社以上が有料利用を希望すれば継続します。
便利だと言われても本番で使われない場合は、機能を増やさず対象業界を変えます。
この事業の本質は、画面に数字を表示することではありません。
複数人が同時に動く現場で、全員の時間認識を一つにそろえ、進行のずれが連鎖するのを防ぐことです。
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