元記事
記事タイトル
How One Pet Waste Removal Business Reached $3M+ in Revenue
掲載サイト
Side Hustle Nation / The Side Hustle Show Episode 722
創業者
William Milliken氏(Swoop Scoop)
公開日
2026年2月9日。Side Hustle Nationの一覧では2026年6月19日の更新表示があります。
元記事URL
https://www.sidehustlenation.com/pet-waste-removal-business/
Swoop Scoopは、住宅の庭を定期的に訪問し、犬のふんを回収するサービスです。記事では、開始3カ月で定期顧客350件を獲得し、その後複数地域へ拡大。前年売上は300万ドル超に達したと紹介されています。
売上や顧客数は創業者本人へのインタビューをもとにした数字であり、第三者による監査済みの数字ではありません。またSide Hustle Nationは、一部リンクなどから報酬を得る場合があることを明記しています。
3分で要約
William氏は、もともと電気工事やガレージドアなどの住宅サービス事業を経験していました。2020年、友人と新しい事業を始めようとした際、妊娠中の妻が利用していた犬のふん回収サービスに目を付けます。
サービス自体は存在していたものの、時間通りに来ない、請求方法が分かりにくい、制服もなくプロらしくない。つまり、「誰もやっていない仕事」ではなく、需要はあるのにサービス品質が低い仕事でした。
ところがGoogleで検索数を調べると、このサービスを探している人はほとんどいませんでした。
普通なら、ここで撤退します。
しかし初期投資がほぼ不要だったため、試してみることにしました。価格を決め、訪問方法や道具の消毒ルールを作り、ドアノック、獣医への営業、地域Facebookグループへの投稿などで最初の15〜20件を獲得します。
その後Facebook広告を始めると状況が一変しました。
最も成果の良かった広告は、雪の上に置かれた犬のふん入り袋という単純な写真。1件の見込み客獲得費は6〜7ドルで、3〜4人に1人が契約しました。結果、開始3カ月で定期顧客350件まで増えたといいます。
ここで重要なのは、
「検索されていない=需要がない」ではなかった
ことです。
犬を飼っている人は、毎週庭にたまるふんに困っている。しかし、「誰かに頼める」と知らなければ検索すらしません。
広告を見た瞬間に、
「そんなサービスがあるなら頼みたい」
という潜在需要が表面化したのです。
そして、もう一つの勝ち筋が巡回密度です。
1人のスタッフは1日25〜35軒、ルートが密集すれば125〜150顧客を担当できます。会社側は当初1時間70〜80ドル、現在は100ドル超の売上効率を目標としています。
つまりこれは、犬のふんを高く売った商売ではありません。
短時間で終わる小さな仕事を近隣に大量に集め、移動時間を削った商売です。
主要な収益モデル
この事業を単純化すると、
収益=定期顧客数×1回当たり料金×月間訪問回数+初回清掃・追加サービス+集合住宅等の法人契約-清掃スタッフ人件費-車両費-燃料費-道具・消毒費-広告費-決済・業務システム費-管理人件費
となります。
Webサイト上では月65〜125ドル程度の料金帯ですが、顧客には「月額100ドル」ではなく「1回25ドル」のように見せたほうが契約率が高かったといいます。
さらに興味深いのが請求方法です。
毎月払いだけでなく、四半期払い、年払いを用意し、四半期・年払いには10%程度の割引を付けました。
その結果、四半期払いの顧客は月払いより約72%解約しにくかったとされています。現在は顧客の約40%が四半期または年払いです。
サービス内容は変わっていません。
変えたのは請求頻度です。
12回「このサービス、まだ必要かな」と考えさせるより、年4回にする。
定期課金では、価格だけでなく「何回課金するか」も解約率を左右します。
開始コスト
開始コストはかなり小さい事業です。
主な道具はレーキ、ちり取り、消毒用品など。特殊設備や専門技術者は必要ありませんでした。創業前には、庭に石を置いて拾い、1軒あたり何分かかるかまで実験しています。
つまり、需要確認のために店舗も車両も大量採用も必要ありません。
最初の15〜20顧客を自分たちで取り、売れることが分かってからFacebook広告へ投資し、車両と人員を増やしました。
低資本だからこそ、検索データが悪くても実験できた事例です。
必要スキル
作業そのものは難しくありません。
しかし、利益を出すためには別の能力が必要です。
特に重要なのは、ルート設計と価格設計です。
同じ25ドルの仕事でも、次の顧客まで2分なら利益が出ます。20分かかれば利益は消えます。
つまり、この事業では「1件いくら」以上に、
1時間に何件回れるか
が重要です。
また感染症を広げないため道具を毎回消毒するなど、単純作業を品質の一定した業務へ標準化する能力も必要です。
他人が見落としていたポイント
一番面白いのは、Google検索数がほぼなかったことです。
前回紹介した旅行ブログでは、「検索されているものだけを書く」ことが成功要因でした。
今回は逆です。
検索されていなくても、問題そのものは存在する。
なぜなら、人は「解決手段を知らない問題」を検索できないからです。
犬の庭掃除を面倒だと思っていても、
「毎週業者が来て25ドルで片づけてくれる」
という選択肢を知らなければ、自分でやるしかないと思っています。
だから検索広告よりFacebook広告が効きました。
需要を刈り取ったのではなく、すでに存在していた不満に解決方法を見せたのです。
そして、この仕事にはもう一つ特徴があります。
誰でもできる。
毎週発生する。
やりたくない。
短時間で終わる。
この4条件が揃っています。
他人は「犬のふん拾いなんて単価の低い仕事」を見ていた。しかし、この事業者は、誰もやりたくない小さな反復作業を近所に集めれば、高収益の巡回事業になることを見ていました。
日本ならどう応用できるか
日本でこの構造をそのまま使うなら、犬のふん回収だけにこだわる必要はありません。
重要なのは、
嫌われる反復作業×狭い商圏×定期訪問
です。
たとえば、小規模店舗の外周清掃、賃貸物件の定期巡回、別荘・空き家の簡易点検、ペット関連の定期メンテナンスなど、「1件15〜30分だが、毎週・毎月やらなければならない仕事」に応用できます。
そして顧客を市内全域から集めるのではなく、一つの住宅地、一つのマンション群、一つの商店街へ集中させる。
売上を増やすより、移動時間を減らす。
これが巡回事業では重要です。
なお、日本で顧客から廃棄物を引き取り、事業として収集・運搬する場合は、一般廃棄物収集運搬業などの許可が関係する場合があります。環境省も一般廃棄物の収集・運搬を業として行う場合、原則として市町村長の許可が必要としています。自治体によって運用も異なるため、犬のふん回収などをそのまま事業化する場合は、処理方法を含め事前確認が必要です。
7つの勝ち筋フィルター
① 他人が見落としている切り口があるか
評価:★★★★★
検索数がほぼゼロでも、潜在的な困り事は大きいと判断しました。
「検索需要」ではなく「嫌われている仕事」を見ています。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
掃除、庭管理、ペット飼育という古い需要です。
新しい技術を理解してもらう必要はありません。
③ 小さく始められるか
評価:★★★★★
最低限の清掃道具だけで、1人・1地域から検証できます。
最初から車両や社員を揃える必要もありません。
④ 在庫を持たずに済むか
評価:★★★★★
商品在庫はほぼありません。
失敗した場合の撤退コストも小さい事業です。
⑤ ストック収益になるか
評価:★★★★★
庭は一度掃除しても、翌週には再び汚れます。
問題そのものが再発するため、定期契約が自然です。
⑥ 粗利益率は高いか
評価:★★★★☆
材料原価は非常に小さい一方、人件費と移動時間が原価です。
ルートが密集すれば1時間100ドル超の売上効率を狙えますが、顧客が散らばれば一気に悪化します。
⑦ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
作業標準化とルート設計ができれば、他地域へコピーできます。実際、同社はSpokane、Seattle、Tacomaなど複数地域へ展開し、25台超の車両を運用しています。
ただし地域密度が低い場所では成立しにくいため、どこでも同じではありません。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、顧客が増えたのに移動距離まで増えることです。
売上100万円でも、スタッフが一日中車を運転していれば利益は残りません。
二つ目は、単発売上ばかり取ることです。
この仕事は毎週発生するから強い。毎回新しい顧客を探していたら、広告費と営業費が膨らみます。
三つ目は、安く売りすぎることです。
同社の顧客LTVは地域によって約2,500〜3,000ドル超。一方、広告による顧客獲得費は25〜30ドル程度とされ、大きな差があります。
この差があるから広告を積極的に使えます。
早期に確認したいKPI
契約率、顧客獲得費、解約率、平均継続月数、1件当たり作業時間、1件当たり移動時間、スタッフ1人当たり担当顧客数などを確認します。
しかし、最重要KPIは売上でも顧客数でもありません。
最も重要なKPIは「スタッフ1時間あたりの粗利益」です。
この数字が上がっているなら、顧客密度が高まり事業が強くなっています。
顧客が増えているのに下がっているなら、拡大するほど苦しくなる事業です。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
一つの反復作業を、週1回または月2回の定期サービスとして売ります。
最初から清掃全般を請け負わず、15〜30分で完了する一作業だけにします。
最初の顧客候補
同じ住宅地、マンション群、商店街など、半径の狭い範囲で同じ問題を抱えている人を狙います。
顧客属性以上に住所が近いことを重視します。
最初の集客方法
Google検索数だけで判断しません。
地域Facebook、Instagram広告、チラシ、管理会社への直接営業などで、具体的なサービスと価格を見せて反応を確認します。
投入する費用と時間の上限
4週間、1地域、広告・チラシ3万円以内、定期顧客10件まで。
最初から車両や社員は増やしません。
継続または撤退を判断する基準
10件の定期顧客を獲得し、同じエリアで1時間に3件以上回れ、移動を含めても十分な粗利益が残るかを確認します。
条件を満たせなければ、広告を増やすのではなく、対象地域を狭めるか、単価を変えるか、別の反復作業へ移ります。
この事業の本質は、犬のふんを拾うことではありません。誰もやりたくない小さな反復作業を狭い地域に集め、移動時間を削りながら定期収益へ変えることです。


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