元記事
記事タイトル
$1,000 Per Postcard: The Every Door Direct Mail Side Hustle
掲載サイト
Side Hustle Nation / The Side Hustle Show Episode 719
事業者
Rachel氏・Dalton氏(Big Sky Automation)
公開・更新日
2026年1月22日
元記事URL
https://www.sidehustlenation.com/every-door-direct-mail-side-hustle/
この事業は、地域の家庭へ配る大判ポストカードに複数の地元企業の広告を掲載し、広告料と印刷・郵送費との差額を利益にするものです。
記事では、1枚のカードに最大16社を掲載。1社150ドルで16枠を販売すると売上2,400ドル、印刷・郵送料・発送代行費が約1,300ドル、1回の発送で約1,100ドルの利益になる例が紹介されています。約7カ月で20回発送し、広告主の継続率は60〜70%でした。
なお、売上や継続率などは事業者本人へのインタビューをもとにした数字であり、第三者による監査済みとは限りません。またSide Hustle Nationにはスポンサーやアフィリエイトなどの商業的な導線があります。
3分で要約
Rachel氏とDalton氏が使ったのは、米国郵便公社USPSの「Every Door Direct Mail(EDDM)」です。
住所リストを持っていなくても、指定した郵便ルートの全世帯へ広告物を配れるサービスです。
最初は約1万世帯へ大きなポストカードを送り、広告主1社あたり約600ドルを取っていました。
しかし、問題が起きました。
ダイレクトメールは一度出しただけでは効果が読みにくい。繰り返し露出したほうがいい。しかし、地元の小さな会社に毎月600ドルを払い続けてもらうのは難しい。
そこで二人は「もっと大きく配る」のをやめました。
対象地域を約2,500世帯まで狭め、ポストカードも6.5×12インチへ縮小。広告主の料金を1回150ドル程度まで下げました。
すると、単価は下がったのに事業は強くなりました。
広告主が1回だけ試すのではなく、3カ月、6カ月と継続しやすくなったからです。
現在は一枚のカードに最大16社を載せます。
たとえば、
16社×150ドル=2,400ドル
印刷、郵送料、発送処理などが、
約1,300ドル
差し引き、
約1,100ドル
が1回の利益です。
しかも広告主から代金を受け取ってから印刷します。
つまり、自分で1,300ドルを先に払って「広告枠が売れるか賭ける」必要がありません。
さらに印刷会社が郵便局へ直接発送するため、本人たちはポストカードそのものにほぼ触りません。
この事業で販売しているのは印刷物ではありません。
一社で買うには高すぎる地域広告を、小さな広告枠へ分割して共同購入できるようにした商品です。
主要な収益モデル
事業構造を単純化すると、
収益=広告掲載社数×1社あたり掲載料-印刷費-郵送料-発送処理費-デザイン費-営業費-決済手数料-顧客対応費
となります。
元記事の例では、
収益=16社×150ドル-約1,300ドル=約1,100ドル
です。
重要なのは、印刷枚数が増えるごとに広告主が一社ずつ増えるわけではないことです。
2,500世帯へ一度配る固定コストを、16社で分けています。
つまり、一社だけで発送すれば高すぎる広告媒体を、複数の顧客を同じ原価へ乗せることで低価格化しているわけです。
さらに一業種一社に限定しています。
カード内に屋根工事会社を2社載せない。
歯科医院も一社だけ。
これによって単なる「安い共同チラシ」ではなく、
競合が同じ紙面にいない地域広告枠
として販売できます。
開始コスト
かなり小さく始められます。
必要なのは、広告主候補への営業、Canvaなどによるデザイン、印刷・配布業者との手配程度です。
しかも元事例では、広告主から入金を受けてから印刷しています。
したがって、利益計算上1回1,300ドル程度の原価があっても、その全額を自己資金で先に賭ける必要がありません。
これは小規模事業ではかなり重要です。
売れる前に仕入れるのではなく、
広告枠を売る
→入金を受ける
→印刷・発送する
という順番です。
印刷機も店舗も配送設備も要りません。
必要スキル
この商売で本当に差がつくのは、デザイン能力ではありません。
最も重要なのは、どの16社を一枚に乗せれば、そのカード全体の価値が上がるかを考える能力です。
屋根工事、配管、HVAC、歯科、美容など、高単価な地域サービスは広告主として相性がいい。
一方、レストランやコーヒーショップには別の役割があります。
食事の割引などが載っていると、住民がカードをすぐ捨てず、取っておく可能性が高まる。
その結果、他の広告主の露出期間まで長くなります。
つまり、広告主は16社それぞれ独立しているのではありません。
一社の商品力が、他15社の広告価値まで上げる場合がある。
ここまで考えると、紙面編集そのものが商品設計になります。
他人が見落としていたポイント
普通、地域企業へDMを提案すると、
「2,500世帯へ広告を送りませんか」
となります。
しかし一社だけで印刷・郵送費を負担すると高い。
だから小さな会社はDMをやらない。
二人はそこで、
「郵送料をどう安くするか」ではなく、「一回の郵送料を何社から回収できるか」
と考えました。
これは課金単位の変更です。
2,500世帯への配送を一社へ売るのではなく、
ポストカードの面積を16個に分け、それぞれ別会社へ売る。
広告主側から見ると、数千ドルかかる地域DMが150ドルになる。
運営側から見ると、150ドルの商品を16個売れば、配送原価を超える。
同じものを共有することで、売り手と買い手の両方に経済合理性が生まれています。
さらに市場を広げなかったことも重要です。
最初の1万世帯から約2,500世帯へ縮小しました。
普通なら「リーチが4分の1になった」と考えます。
しかし地域事業者が欲しいのは全国的な認知ではありません。
商圏内の顧客です。
対象を狭めたことで価格を下げ、継続率を上げました。
他人は「地域DMは高い」と見ていた。しかし、この事業者は、一社には高すぎる固定費を複数社で共同負担させれば、地域広告そのものを継続購入できる商品へ変えられると考えました。
日本ならどう応用できるか
日本にも近い仕組みがあります。
日本郵便の「タウンメール」は住所リストがなくても、指定した地域の全戸へ郵便物を届けられるサービスです。町丁目単位で配達地域を指定できます。現在の料金は25g以内74円、50g以内87円、100g以内105円です。
ほかにもタウンプラスや、大量のDM向けの広告郵便物があります。広告郵便物は一定条件を満たせば、差出通数に応じて料金割引もあります。
したがって、
「○○市・○○町のおすすめ店舗16選」
のような共同広告は日本でも検討できます。
たとえば2,000〜3,000世帯の住宅地へ、
工務店
美容室
学習塾
歯科医院
飲食店
クリーニング
整体
不動産
など、一業種一社だけを掲載する。
ただし、米国のカードサイズやEDDM料金をそのまま日本郵便へ持ち込めるわけではありません。利用するサービスごとにサイズ、重量、最低差出数、広告内容等の条件が異なるため、実際の印刷物を設計する前に日本郵便や配布会社へ確認する必要があります。
そして日本でさらに面白いのは、単なる広告チラシにしないことです。
たとえば、
「○○町子育てマップ」
を作り、
小児歯科
写真館
学習塾
飲食店
習い事
住宅会社
に広告枠を売る。
あるいは、
「箱根宿泊客向け地域マップ」
なら、
飲食店
土産物店
体験施設
タクシー
温泉施設
から協賛を集める。
広告を売るより先に、住民や旅行者が取っておきたい媒体を作ることが重要です。
7つの勝ち筋フィルター
① 他人が見落としている切り口があるか
評価:★★★★★
DMの印刷費を下げるのではなく、同じDMへ複数の広告主を乗せて固定費を分担させています。
広告媒体を「共同購入」に変えた点が強いです。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
地域広告、チラシ、DMは昔から企業がお金を払っている市場です。
新しい需要を教育する必要がありません。
③ 小さく始められるか
評価:★★★★★
広告主を集めてから印刷できます。
最初から設備や大量在庫を持つ必要もありません。
一地域、一回の発送だけで検証可能です。
④ 在庫を持たずに済むか
評価:★★★★★
商品在庫はありません。
印刷物も受注後に必要枚数だけ作ります。
⑤ ストック収益になるか
評価:★★★★☆
一回の発送は単発売上ですが、元事例では広告主の60〜70%が継続し、現在は3〜6カ月契約を前払いで販売しています。
広告主との関係がストック化します。
⑥ 粗利益率は高いか
評価:★★★★☆
元記事の例では売上2,400ドルに対して印刷・郵送等が約1,300ドルで、約1,100ドルが残ります。
ただし自分の営業・デザイン時間まで含めれば利益率は下がります。
特に毎月16枠をゼロから売り直す状態では、営業人件費が重くなります。
⑦ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
一地域、一業種一社、複数広告主で配送費を分担する構造は他地域にも展開できます。
実際、元事例では自宅から4時間離れた地域のカードも、現地へ行かず営業・制作・発送しています。
一方、広告主が十分存在しない地域では成立しません。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、16枠が埋まる前に印刷してしまうことです。
印刷・郵送費は固定です。
16社なら利益が出ても、5社しか集まらなければ赤字になる可能性があります。
二つ目は、広告効果を約束しすぎることです。
元事例でも初期の失敗として、「150ドル出せばすぐ4,000ドルの仕事が取れる」と期待させるような説明をしてしまった点を挙げています。
この商品は検索広告のような即時獲得媒体ではなく、地域で繰り返し名前を見せる認知広告に近い。
期待値を間違えれば解約が増えます。
三つ目は、同業者を同じ紙面へ何社も載せることです。
広告枠を埋めたいからと屋根工事会社を3社載せれば、一社あたりの価値は下がります。
短期の売上より、カテゴリー独占による継続率を優先したほうが強いモデルです。
早期に確認したいKPI
見るべき数字は、広告枠販売率、広告主獲得単価、広告主継続率、一発送あたり粗利益、1社あたり営業時間、3カ月契約比率などです。
中でも、
最も重要なKPIは「次回発送への広告主継続率」です。
一回目を売るだけなら、営業力で何とかできます。
しかし毎月16社を新規営業し続ける必要があるなら、強い事業ではありません。
元事例の60〜70%のように、既存広告主が次回も残れば、回を重ねるほど営業負担が下がります。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
最初から地域メディアを作りません。
2,000〜3,000世帯へ一回だけ配る、8〜12社程度の共同広告から試します。
カテゴリーは一業種一社にします。
最初の顧客候補
商圏が狭く、一人の顧客を獲得した際の利益が比較的大きい事業者です。
工務店、リフォーム、不動産、歯科、学習塾、美容などを中心にしつつ、カードを保存してもらうため飲食店なども混ぜます。
最初の集客方法
広告は使いません。
対象地域の事業者20〜30社へ、
「○○町2,500世帯へ、一業種一社限定で共同広告を配ります。1枠○円です」
と直接提案します。
価格まで最初から伝えます。
投入する費用と時間の上限
1カ月、広告主候補30社、自己資金3万円以内。
原則として、必要な広告枠が埋まり、広告料金を入金してもらうまでは印刷しません。
継続または撤退を判断する基準
広告主候補30社へ提案し、最低8社程度が実際に料金を払うかを確認します。
さらに初回発送後、半数以上が次回も同じ価格で掲載したいと言うかを見ます。
初回だけ売れても継続しない場合は、配布地域、広告主カテゴリー、価格、媒体内容のどこかを変える必要があります。
そして継続率が高いエリアだけ、3カ月、6カ月契約へ移行する。
この事業の本質は、ポストカードを配ることではありません。一社では高すぎる固定費を複数の顧客へ分割して販売し、「買えなかった広告媒体」を継続購入できる商品へ変えることです。


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