元記事
記事タイトル
Inside the Sharetown Mattress Return Pickup and Resale Side Hustle
掲載サイト
Side Hustle Nation
事例
Sharetown / Sharetown Rep
公開日
2026年7月1日。Side Hustle Nation上では2026年8月18日の更新表示があります。
元記事URL
Side Hustle Nation「Inside the Sharetown Mattress Return Pickup and Resale Side Hustle」
Sharetownは、マットレス、家具、フィットネス機器など、大型商品の返品を地域の担当者が回収し、清掃・保管したうえで中古市場へ再販売する「逆物流」の会社です。
元記事では、アリゾナ州で活動する担当者が週6〜10時間ほどの稼働で月3,000〜4,000ドルを得ていると紹介されています。公式サイトでは、アクティブな担当者の平均収入を週500ドル超、最大時給50ドル程度とうたっています。
ただし、担当者の収入などは本人へのインタビューや会社公表値をもとにしており、第三者による監査済みの数字ではありません。またSide Hustle Nationにはアフィリエイト等の商業的な導線があります。
3分で要約
この事業が生まれた背景には、D2C家具・マットレス市場特有の問題があります。
オンラインで1,000ドル、2,000ドルするマットレスを買うのは怖い。そこでメーカーは、「100日間試して合わなければ返品可能」といった保証を付けます。
これによって新品は売りやすくなります。
しかし、別の問題が生まれます。
一度開封したマットレスは、元の小さな箱には戻りません。大型家具も同じです。
返品だからといって、宅配便で簡単にメーカー倉庫へ戻せるわけではない。大型輸送費がかかり、倉庫で場所を取り、しかも「新品」としては再販売できません。
つまり、販売時に顧客のリスクを下げた結果、返品時の企業リスクが増えるのです。
Sharetownは、この後始末を事業にしました。
顧客が返品を申し込むと、近隣のSharetown担当者へ回収依頼が送られます。
担当者は商品を自宅などへ持ち帰り、清掃、消毒、状態確認を行い、Facebook Marketplaceなどの地域中古市場へ掲載します。売れなければ、商品によって寄付やリサイクルへ回します。Sharetownによれば、回収地点と次の利用者までの平均距離は約13マイルです。
ここからが面白いところです。
担当者は、商品を先に仕入れません。
元記事で紹介された典型例では、
新品価格2,000ドルの商品を、
500〜600ドル程度で中古販売し、
販売後にSharetownへ175〜350ドルを支払う。
差額として担当者に150〜425ドル程度が残ります。インタビューを受けた担当者は、1商品あたり平均250ドル程度の利益を目安にしていました。
つまり、
仕入れる
→売れるか試す
ではありません。
商品を預かる
→売る
→売れたら初めて仕入相当額を精算する
という順番です。
Sharetown本体はさらに、再販代金の一部を元メーカーへ還元します。
メーカーにとっては、それまで運賃を払って処分していた返品から、一部でも価値を回収できる。
担当者には、中古品を買い付けなくても販売できる商品が入ってくる。
中古品購入者は、新品価格より大幅に安く商品を買える。
一つの返品から、三者の経済合理性を作っています。
主要な収益モデル
Sharetown全体のモデルを単純化すると、
収益=返品商品の再販売額-担当者への取り分-元メーカーへの還元額-システム運営費-顧客対応費-保険・管理費-再販不能品の処理費
となります。
地域担当者側なら、
収益=販売商品数×平均販売価格-Sharetownへの精算額-車両・燃料費-保管費-清掃・消毒費-廃棄費-販売対応にかかる時間コスト
です。
重要なのは、商品原価の考え方です。
一般的な中古転売では、売れるかどうか分からない商品へ先に現金を払います。
Sharetownでは、売れた後に精算します。
したがって、在庫リスクのうち「仕入資金リスク」がほぼ切り離されているのです。
一方、完全に在庫ゼロではありません。
マットレスや家具は実際に保管する必要があります。売れなければガレージや倉庫を占有します。
つまり、このモデルが消しているのは「在庫そのもの」ではなく、在庫へ先払いする資本リスクです。
開始コスト
担当者になる場合、最大のハードルは大型商品を運べる車と保管場所です。
Sharetown公式では、大型SUV、トラック、バン、トレーラーなどの移動手段と、ガレージ、物置、空き部屋などの保管スペースを要件として挙げています。また大型商品の回収を手伝う人が必要になるケースもあります。
そのため、誰でもスマートフォン1台で始められる事業ではありません。
ただし、商品を数十万円分買い付けてから転売を始める必要はありません。
元記事では、最初はHonda CR-Vのような車へマットレスを積み、その後、取扱量が増えてからトラックや保管スペースを拡大した例も紹介されています。
需要ではなく、実際の取扱量が増えてから設備を増やす。
ここは物理ビジネスでは重要です。
必要スキル
この商売で差がつくのは、家具の修理技術だけではありません。
特に重要なのは、
再販価格を見極める能力です。
新品2,000ドルだったから、中古でも1,000ドルで売れるとは限りません。
ブランド、サイズ、状態、地域需要、季節、保管スペースなどを踏まえて、「いくらなら何日以内に売れるか」を判断する必要があります。
もう一つ重要なのが物流です。
1件の利益が250ドルあっても、片道1時間かけて回収し、また1時間かけて購入者へ配送すれば利益は削られます。
Sharetownが近隣担当者へ自動配車しているのも、単なる利便性ではありません。
中古品の価値を残すには、移動距離を短くする必要があるからです。
他人が見落としていたポイント
普通、返品は「売上のマイナス」として扱われます。
売上を取り消す。
返金する。
商品を引き取る。
廃棄する。
企業から見れば、返品はコストです。
Sharetownは、そこを逆から見ました。
返品された瞬間に商品価値がゼロになるわけではない。
新品として売れなくなっただけです。
2,000ドルで買う顧客はいなくても、500ドルなら欲しい顧客がいる。
問題は商品価値がないことではありません。
新品市場から中古市場へ移す仕組みがなかったことです。
特にマットレスや家具のような大型商品では、中央倉庫へ戻して再販しようとすると輸送費が高すぎます。
そこでSharetownは、商品を中央へ戻しません。
返品された街で回収し、その街で売る。
メーカーの全国物流網ではなく、Facebook Marketplaceなどの地域中古市場を出口にしました。
つまり、
物流を短くしたことで、今まで廃棄されていた残存価値を利益へ変えた
のです。
他人は「返品された商品」を見ていた。しかし、この事業者は、企業にとっては処分コストでも、別の顧客にとっては値引きされた商品になる“市場間の価格差”を見ていました。
日本ならどう応用できるか
日本でそのまま「返品マットレス再販」を始める必要はありません。
むしろ見るべきなのは、
企業では処分対象だが、別市場ではまだ価格が付く商品
です。
たとえば、
EC家具の返品品。
展示家具。
フィットネス機器。
オフィス家具。
撮影用什器。
モデルルーム用品。
店舗閉鎖時の厨房機器や備品。
ホテルの入れ替え家具。
こうした大型商品は、売り手企業にとって「保管し続けるくらいなら捨てたい」ものになりやすい。
一方、近隣には安く買いたい中小企業や個人がいます。
そこで、
回収→状態確認→写真撮影→地域販売→売却代金を分配
までを一つのサービスにします。
重要なのは、最初から商品を買い取らないことです。
「売れた場合だけ販売額を分配する」「一定期間売れなければ返却・リサイクルする」とすれば、在庫への資本投下を抑えられます。
なお、日本で中古品の買取・委託販売等を業として行う場合には古物営業法の確認が必要です。警察庁の解釈基準でも、古物の売買だけでなく、委託を受けて売却する行為が古物営業として扱われる場合があります。インターネット取引には本人確認や許可情報の表示などの義務もあります。
実際の契約形態と商品の流れを決めた段階で、所轄警察署等へ確認する必要があります。
7つの勝ち筋フィルター
① 他人が見落としている切り口があるか
評価:★★★★★
返品を「損失」ではなく、別市場へ移せる中古在庫として見ています。
企業のコストセンターだった逆物流に、収益機会を作った点が非常に強い事例です。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
返品、中古販売、家具物流はいずれも昔からある市場です。
新しい需要を作ったのではなく、今まで分断されていた市場を接続しています。
③ 小さく始められるか
評価:★★★★☆
車両や保管場所は必要ですが、一地域、一社、一商品カテゴリーから検証できます。
中央倉庫や大規模物流センターを作る必要はありません。
④ 在庫を持たずに済むか
評価:★★★★☆
商品は一時保管するため、物理的な在庫はあります。
一方、売れる前に買い取らないため、在庫に現金を寝かせる必要がない点は大きな強みです。
⑤ ストック収益になるか
評価:★★★☆☆
個々の商品は売れば終わりです。
ただし、小売企業との返品処理契約を継続的に獲得できれば、返品が発生するたびに商品供給が生まれます。
商品のストックではなく、返品元企業との契約がストック資産になります。
⑥ 粗利益率は高いか
評価:★★★★☆
元記事では、一商品あたり150〜425ドル程度、平均250ドル程度の利益例が紹介されています。
仕入代金の先払いがないのは強い一方、配送、保管、清掃、人件費まで考えなければ実質粗利益は分かりません。
⑦ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
「返品・余剰品→地域回収→再商品化→地域再販」という構造は他の商品へ応用できます。
ただし、大型商品ほど物流設計と保管場所が成否を分けるため、商品カテゴリー選びは重要です。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、売れない商品ばかり引き取ることです。
仕入代金を払っていなくても、500平方メートルの倉庫が売れない家具で埋まれば赤字です。
元記事でも、特殊サイズのマットレスが1年以上売れなかった例が紹介されています。長期滞留品については価格条件を見直し、値下げできる仕組みが必要です。
二つ目は、回収距離が長すぎることです。
大型商品では、商品の利益よりトラックと人の移動費のほうが高くなりかねません。
三つ目は、商品を何でも受けることです。
「返品なら全部引き取ります」では危険です。
売却率、平均販売日数、必要保管面積、回収原価を商品カテゴリーごとに測り、利益の出るものだけを増やす必要があります。
早期に確認したいKPI
見るべき数字は、再販率、平均販売価格、平均販売日数、回収距離、1点あたり保管日数、保管面積あたり粗利益、回収・配送時間、廃棄率です。
その中でも、
最も重要なKPIは「返品1件あたり回収価値-回収・保管・再販コスト」です。
500ドルで売れたこと自体には意味がありません。
回収に100ドル、保管に50ドル、清掃・販売対応に100ドルかかったなら、残る価値は250ドルです。
この数字がプラスになる商品だけを増やします。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
最初から総合返品物流会社にはなりません。
「一社の大型返品商品を、10点だけ地域再販する」
ところまで絞ります。
商品カテゴリーも一つにします。
最初の顧客候補
家具、フィットネス用品、オフィス用品などをオンライン販売しており、返品時の回収・保管・廃棄コストに困っている事業者です。
「中古品を売りたい会社」ではなく、返品処理にお金を払っている会社を狙います。
最初の集客方法
広告は不要です。
D2C事業者や家具販売会社10社へ、
「返品1件を現在いくらで処理しているか」
をヒアリングします。
その中から、返品コストが高い1社へ10商品限定の実証を提案します。
投入する費用と時間の上限
2カ月、1社、商品10点、外部支出10万円以内。
専用倉庫は借りません。
大型トラックも買いません。
必要な車両や保管場所は、最初は都度借りるなどして固定費化を避けます。
継続または撤退を判断する基準
10点のうち7点以上を60日以内に販売し、回収・保管・販売対応をすべて含めても、1商品あたり十分な粗利益が残るかを確認します。
さらに、返品元企業にとっても従来の廃棄・返品物流よりコストが下がっていることが条件です。
片方だけが儲かるモデルでは長続きしません。
この事業の本質は、中古マットレスを転売することではありません。一つの市場では処理コストになった商品を、価格が付く別の市場へ最短距離で移し、捨てられていた残存価値を回収することです。


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