地元の歴史と飲食店を束ね、週末副業から年商30万ドルへ育てたフードツアー事業

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元記事

記事タイトル
How to Start a Food Tour Business: $300k Starting as a Side Hustle

掲載サイト
Side Hustle Nation

著者・聞き手
Nick Loper

出演者
Chris Andrews氏(Bienville Bites Food Tour)

公開日・更新日
2024年9月26日

元記事URL
https://www.sidehustlenation.com/how-to-start-a-food-tour-business/

記事内の売上、顧客構成、料金などは、出演者本人の説明に基づいています。第三者による監査済みの数字ではありません。また、Side Hustle Nationにはスポンサーやアフィリエイトリンクが含まれます。

3分で要約

Chris Andrews氏は、米国アラバマ州モービルの製鉄所で働く一方、地域の歴史に強い関心を持っていました。

友人から別の都市で参加したフードツアーの話を聞き、「モービルでもできるのではないか」と考えます。

モービルには300年以上の歴史と独自の食文化がありましたが、当時は地域の料理と歴史をまとめて紹介する事業者がほとんどいませんでした。

そこで2017年、週末だけの副業としてフードツアーを始めます。最初は知人や家族に参加してもらい、その後Facebookを中心に集客しました。

ツアーでは、参加者が複数の飲食店を歩いて回り、各店舗の料理を少量ずつ味わいます。その途中で、街の歴史、建物、料理の由来、地域の人物についてガイドが説明します。

単に人気店を食べ歩くのではなく、料理を入口にして街全体を案内する体験です。

飲食店との提携では、営業時間の混雑を避け、比較的空いている時間帯に来店して店主へ企画を説明しました。

店側にとって、突然12〜14人の団体客が来ることは負担にもなります。そのため、人数、時間、提供する料理、支払い方法を細かく調整し、店側にもメリットがあることを伝えています。

通常のツアーに加え、ハロウィーン時期の怪談ツアー、クリスマス、マルディグラ、音楽家をテーマにした企画なども展開しました。

このテーマ型ツアーが、観光客だけでなく地元住民のリピートを生みます。顧客の約70%は地元の人で、別のテーマが出るたびに再参加しています。

料金は1人約99ドルで、そのうち約40%が料理と飲み物の費用です。残りからガイド報酬、予約システム、保険、運営費などを支払います。

集客では広告だけでなく、Tripadvisorなどの口コミを重視しました。元記事公開時点で約300件のレビューがあり、近隣競合の約32件を大きく上回っていました。

現在は6人のガイドが週末に6〜7本のツアーを運営し、創業者本人は通常ツアーの案内から離れています。事業は年商約30万ドル規模となり、隣町にも展開しました。

主要な収益モデル

中心となる収益は、参加者ごとのツアー料金です。

基本式は、

参加料金 × 参加人数− 飲食店への支払い− ガイド報酬− 予約・保険・集客費

となります。

この事例の特徴は、一般観光客向けだけではないことです。

企業の研修、顧客接待、チームビルディングなどの法人予約が売上の約25%を占めています。企業は、一人ずつ料金を払う個人客よりも、まとまった人数で予約するため、集客効率が高くなります。

さらに、テーマを変えることで同じ地元住民へ複数回販売できます。

通常の観光ツアーは、一度参加するとリピートされにくい事業です。しかし、季節、歴史、人物、イベントを切り口に内容を変えれば、同じ顧客へ新しい体験として再販売できます。

そのほか、地域の飲食店を紹介するポッドキャスト、書籍、同業者向け講座などにも展開しています。

開始コストと必要スキル

店舗や調理設備は不要です。

主に必要になるのは、予約サイト、保険、Webサイト、ガイド資料、簡単な広告費、飲食店へ支払う試食代です。

最初は創業者自身がガイドを務め、少人数のツアーから始められます。

ただし、開始コストが小さいからといって、簡単な事業ではありません。

必要なのは、地域の歴史や飲食店を調べる力、店との交渉力、人前で話す力、時間管理、トラブル対応です。

参加者が遅れる、店が急に混雑する、料理の提供が遅れる、天候が崩れるなど、複数の関係者をその場で調整する必要があります。

他人が見落としていたポイント

多くの人は、この事例を「人気店を案内して手数料を取る観光事業」と見ます。

しかし、参加者が買っているのは料理だけではありません。

知らない街で店を選ぶ。
予約する。
移動経路を考える。
何を注文するか決める。
店の背景を調べる。

こうした判断を自分で行えば、一日で回れる店は限られます。

フードツアーは、複数の店を少量ずつ体験できるように組み、移動、注文、歴史解説まで一つの商品にしています。

つまり、顧客が買っているのは食事ではなく、その街を短時間で理解できる編集済みの体験です。

もう一つ重要なのは、観光客ではなく地元住民を主な顧客にしたことです。

観光客は一度来れば終わります。しかし地元住民は、新しいテーマがあれば再び参加します。

他人は、旅行者へ一度売る観光商品を見ていました。

しかし、この事業者は、地元の人が自分の街を再発見する理由を何度も作ることを見ていました。

日本ならどう応用できるか

日本で応用するなら、観光地の有名店を並べるだけでは競争が激しくなります。

むしろ、地域を狭くし、明確なテーマを作る方が現実的です。

例えば、

  • 商店街の老舗と歴史
  • 夜の歓楽街で働く人が選ぶ店
  • 発酵食品や地酒
  • 戦後の街並みと大衆食堂
  • 港町の魚料理
  • 工場街の労働者向け食文化
  • 外国人向けの街中華や居酒屋入門

などです。

日本版で重要なのは、店側の運営を乱さないことです。

団体客を通常営業時間のピークに送るのではなく、提供時間、人数、専用メニュー、精算方法を事前に決めます。

また、旅行業法、道路使用、通訳案内、飲食代を含む料金設計など、提供形態によって法的確認が必要です。

5つの勝ち筋フィルター

① 中央値か、外れ値か

評価:★★★★☆

観光ツアーも食べ歩きも既存市場です。

一方、料理と地域史を組み合わせ、地元住民を主要顧客にした点には外れ値性があります。

差別化の中心は店の知名度ではなく、テーマの編集力です。

② 古くからある市場か

評価:★★★★★

食事、観光、地域の物語を知りたい需要は昔からあります。

飲食店側にも、新しい顧客を獲得したい需要があります。市場をゼロから教育する必要はありません。

③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか

評価:★★★★☆

店舗や在庫を持たず、週末に一つのコースから試せます。

参加者が集まらなければ、テーマ、料金、地域、開催時間を変えて再検証できます。

一方で、飲食店との調整や保険、事故対応は必要です。金銭的には小さく試せますが、参加者を預かる責任は軽くありません。

④ 粗利益率は高いか

評価:★★★☆☆

店舗を持たない点は有利ですが、売上の約40%が飲食費に使われます。

さらにガイド報酬や予約手数料も必要です。

利益率を上げるには、参加人数を安定させ、少人数でも必要なガイド時間を減らし、法人予約を増やすことが重要です。

⑤ 再現性はあるか

評価:★★★★☆

コース、解説台本、店舗ごとの所要時間、緊急時の対応は標準化できます。

一方、ガイドの話し方や参加者との交流が満足度を大きく左右します。

再現性を高めるには、知識だけでなく、物語の伝え方まで研修する必要があります。

どうなったら失敗するのか

最大の失敗条件は、飲食店を単なる仕入れ先として扱うことです。

店側に負担だけが残れば、提携は続きません。

参加者の到着が遅れる、料理を出す時間が読めない、通常客の席を圧迫するなど、店の営業を乱せば関係が崩れます。

もう一つは、観光客だけに依存することです。

閑散期や天候、景気の影響を受けやすく、毎回新しい顧客を集めなければなりません。

テーマ型企画や法人需要を持たなければ、売上は安定しにくくなります。

早期に確認したいKPI

確認したいのは、1ツアー当たり参加人数、1人当たり粗利益、予約から参加までのキャンセル率、レビュー獲得率、地元客の再参加率です。

特に重要なのは、定員ではなく損益分岐点を超える平均参加人数です。

最初に取り組むアクション

最初の商品は、徒歩圏内の3店舗を2時間で回る少人数ツアーに絞ります。

テーマは「地域の歴史と老舗料理」など、一文で説明できるものにします。

最初の顧客候補は知人、地域住民、転入者、地元企業です。SNSで広く広告する前に、10人程度の有料モニターを集めます。

検証期間は30日、費用は5万円以内、開催は最大3回とします。

3回の平均参加者が5人以上で、半数以上から高評価レビューを得られ、提携店舗も継続を希望すれば続けます。

この事業の本質は、料理を食べ歩くことではありません。

街に点在する料理、歴史、人の物語を一つに編集し、短時間でその地域を好きになれる体験として販売することです。


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