元記事
記事タイトル
Meet the Master Reseller Who Gets Literally Tons of Inventory for Free
掲載サイト
Side Hustle Nation / The Side Hustle Show Episode 735
著者・出演者・創業者
Nick Loper / Angie Nelson氏(eWasteDirect / Angie’s GreenGo Surplus)
公開・更新日
2026年4月23日
元記事URL
https://www.sidehustlenation.com/free-flipping-with-ewaste/
Angie Nelson氏は、サンフランシスコ・ベイエリアの企業、学校、行政機関などから不要になった電子機器を回収し、使えるものは中古品として、壊れたものは部品として、それでも売れないものは金属資源として販売しています。
現在は1日5〜7件の企業を回り、月約5万ポンド、約2.3万kgの電子機器を回収。13人の正社員、トラック、約1万平方フィートの倉庫を持つ事業へ成長しました。eBayでは約1,400商品を常時掲載し、月1,200〜1,500点を販売しています。
これらの数字は本人へのインタビューをもとにしたもので、第三者による監査済みの数字ではありません。またSide Hustle Nationにはスポンサーやアフィリエイトなどの商業的な導線があります。
3分で要約
事業の始まりは、むしろ失敗でした。
2008年、Angie氏夫妻は倒産した住宅ローン会社のオークションへ行き、家具を安く買おうとします。
ところが、個別の商品へ入札しているつもりが、落札したのは4フロア分すべて。
ファイルキャビネット400台、ゴミ箱1,000個、モニター80台などを、約300ドルで引き取ることになりました。
そこでガレージセールやフリーマーケット、eBayで販売し、残った金属はスクラップ業者へ持ち込んで換金しました。
約300ドルの仕入れは最終的に約10倍になったといいます。
ここで気づきます。
企業には、
「まだ価値はある。しかし、自分たちでは売るほどではない」
電子機器が大量にある。
古いパソコン、モニター、サーバー、複合機。
企業側からすると、一台ずつ中古販売するのは面倒です。データも消さなければならない。古すぎれば処分方法も考えなければならない。
そこでAngie氏は、企業へ、
「不要な電子機器を無料で取りに行きます」
と営業しました。
企業は処分の手間がなくなる。
Angie氏には商品が無料で入ってくる。
現在は口コミも広がり、1日5〜7件の企業を回収しています。
この事業で特に面白いのは、回収品を「売れる・売れない」の二択にしなかったことです。
完全に動くなら中古品として売る。
一部だけ動くなら、液晶、基板、メモリなどの部品へ分解して売る。
それでも商品価値がなければ、金属資源としてリサイクルする。
一つの商品に、三つの出口を持たせています。
主要な収益モデル
事業を単純化すると、
収益=中古完成品売上+中古部品売上+金属スクラップ売上+一部回収・処理関連収入-回収車両費-人件費-倉庫費-検品・修理費-データ消去費-梱包費-配送費-販売手数料-適正処理費
となります。
普通の中古販売では、
仕入れる→売る
です。
この事業では、主要な商品の多くが、
無料で引き取る→売る
になります。
元記事では、現在も主要な在庫は無料回収ですが、高性能サーバーやゲーミングPCなど価値の高い機器については、企業側へ少額を支払って仕入れるケースもあるとしています。
ただし、「仕入原価ゼロだから高粗利」と単純には言えません。
このビジネスでは回収、選別、検品、データ消去、保管、出品、発送が原価になります。
無料で100台もらっても、売れるのが10台で、残り90台の処理に大量の人件費がかかれば儲かりません。
重要なのは仕入価格ではなく、
1kg、あるいは1回の回収から、処理コストを引いていくら価値を回収できるか
です。
開始コスト
現在は倉庫とトラックを持つ会社ですが、最初から必要だったわけではありません。
元記事でも、小さく試すなら、自分の古いパソコンやスマートフォンを売って販売工程を覚え、次に知人の会社などで機器入れ替え時の不要品を引き取る方法を勧めています。
つまり、
企業回収10台
→売れるものを判別
→出品
→売れないものを適正処理
という小さな一巡を確認してから増やせます。
最初から倉庫もトラックもいりません。
ただし電子機器には顧客データが残っている可能性があるため、一般的な中古家具よりも、情報管理への信用が重要になります。
必要スキル
一番重要なのは修理技術ではありません。
何を、どの出口へ流すかを即座に判断する選別能力です。
同社では回収した商品を、
「そのまま売る」
「部品として売る」
「資源として処理する」
に分けます。
たとえばノートPCの液晶が壊れていても、マザーボードやディスプレイ以外の部品に値段が付く場合があります。
さらに、eBayの成約済み価格を見て市場価格を確認し、物流費まで含めて出品価格を決めています。
送料管理も侮れません。
同社ではノートPCの梱包箱をわずかに小さくしただけで、1個3〜5ドル配送費を削減。大量出荷では年間数千ドル単位の差になりました。
つまり、
無料で仕入れる技術より、無料で入ってきた混合物から利益商品だけを高速で抜き出す技術
のほうが重要です。
他人が見落としていたポイント
中古品ビジネスでは、普通、
「何を安く買えば、高く売れるか」
を考えます。
この事例は違います。
仕入先企業にとって、その商品はすでに「資産」ではありません。
保管場所を取る。
処分方法を調べなければならない。
データ消去も心配。
担当者の時間も使う。
つまり、価値のあるパソコンであっても、企業内部では処理しなければならない仕事になっています。
だから無料で渡してくれる。
ここに面白い価格のねじれがあります。
売り手側ではマイナス価値。
買い手側ではプラス価値。
Angie氏は、この二つの市場の間に入りました。
さらに強いのが、出口を一つにしなかったことです。
新品同様でなくても、部品として売れる。
部品として売れなくても、銅やアルミなどの資源価値が残る。
一つの商品を「売れるかどうか」で見るのではなく、
どの状態まで分解すれば価格が付くか
を考えています。
他人は「古いパソコン」を見ていた。しかし、この事業者は、企業が処分費を払いたい物の中に、完成品・部品・資源という複数の出口価格が残っていることを見ていました。
日本ならどう応用できるか
日本でそのまま「不要家電を無料回収します」と始めるのは注意が必要です。
家庭から廃棄物として家電を回収する場合、環境省は一般廃棄物収集運搬業の許可や市区町村からの委託が必要だと明示しています。またパソコンは資源有効利用促進法に基づき、家庭系・事業系ともメーカーによる回収・リサイクル制度があります。
したがって、日本で応用するなら「何でも無料回収」ではなく、許認可や処理区分を確認したうえで、適切なリサイクル事業者と組む方が現実的です。
たとえば企業のIT機器入れ替え時に、
再利用可能品を査定する。
データ消去する。
中古販売できるものは再販する。
売れない機器は認定リサイクル事業者へ渡す。
という仕組みです。
小型家電リサイクル法には国の認定事業者制度もあり、全国各地に認定事業者が存在します。
重要なのはe-wasteそのものではありません。
応用できる原則は、
「顧客が処分したいものの中で、別市場なら価格が付くものを探す」
ことです。
閉店店舗の什器。
ホテルの家具入れ替え品。
オフィス移転時の備品。
撮影機材。
業務用厨房用品。
企業側にとっては撤去費用が発生する一方、別の中小企業にとっては欲しい中古設備かもしれません。
7つの勝ち筋フィルター
① 他人が見落としている切り口があるか
評価:★★★★★
「中古品を安く買う」のではなく、処分に困っている企業から無料で商品を取得しています。
仕入市場ではなく、廃棄市場を仕入先にした点が強いです。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
中古品販売、企業の設備入れ替え、廃棄・リサイクルはいずれも昔からある需要です。
新しい消費行動を教育する必要はありません。
③ 小さく始められるか
評価:★★★★☆
自宅の中古品や、小規模な企業回収から検証できます。
ただし電子機器ではデータ消去、適正処理、運搬などの管理が必要なので、完全なノーリスク事業ではありません。
④ 在庫を持たずに済むか
評価:★★☆☆☆
ここは弱点です。
売れるまで大量の物理在庫を保管する必要があります。
同社も現在は約1万平方フィートの倉庫を使っています。
⑤ ストック収益になるか
評価:★★★☆☆
個々の商品は一度売れば終わります。
ただし企業の設備入れ替えは繰り返されるため、同じ法人から定期的に回収案件が発生します。実際、複数拠点を継続して任される顧客も増えています。
⑥ 粗利益率は高いか
評価:★★★★☆
商品仕入原価がゼロに近い点は非常に強い。
一方、回収、倉庫、人件費、検品、配送、販売手数料が大きく、低価値品まで扱えば簡単に利益を失います。
⑦ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
「無料・低価格で回収→価値ごとに選別→複数市場へ販売」という型は他の商品にも応用できます。
ただし、どの商品が売れるかを判断する目利きと、適法な処理ルートの確保が前提です。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、無料だから何でも引き取ることです。
0円で仕入れたプリンター100台が倉庫を半年占有すれば、0円の商品ではありません。
保管費が発生しています。
二つ目は、販売価格だけを見て物流費を無視すること。
1万円で売れても、梱包、人件費、送料が8,000円なら意味がありません。
三つ目は、出口を一つしか持たないことです。
「eBayで売れない=廃棄」とすれば、価値を取りこぼします。
完成品、部品、資源という複数の出口を持つことが重要です。
そして電子機器では、データ消去や適正処理を軽視すると、利益以上の信用問題になります。
早期に確認したいKPI
見るべき数字は、回収重量、再販率、部品販売率、資源化率、平均販売単価、回収1件あたり人件費、平均保管日数、1商品あたり物流費です。
最も重要なのは、
「回収1件あたりの最終粗利益」
です。
無料で大量に集められたかではありません。
回収、選別、保管、販売、処理を全部終えた後に、いくら残ったか。
ここがプラスになる企業・商品カテゴリーだけを増やします。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
最初から「企業の不用品を全部引き取る」とは言いません。
一種類の中古機器10台だけを引き取り、再販可能性を調べるサービスから始めます。
最初の顧客候補
定期的にPCやモニターなどを入れ替えており、その処分に社員の時間や費用を使っている中小企業です。
最初の集客方法
企業10社へ、
「機器入れ替え時の古い設備を今どう処理していますか」
と聞きます。
処分費や手間が大きい企業を1社選び、適法な処理ルートを確認したうえで小規模に試します。
投入する費用と時間の上限
1カ月、1社、10台、外部支出5万円以内。
倉庫もトラックも借りません。
売却不能品を適正処理する費用まで含めて実験します。
継続または撤退を判断する基準
10台を引き取り、30日以内に再販・部品販売・資源化まで行い、すべての処理費を引いてプラスになること。
さらに同じ企業が、
「次回の入れ替えも頼みたい」
と言うかを確認します。
利益が出なければ、「もっと無料商品を集める」のではありません。
扱う機種、企業、出口市場を変えます。
この事業の本質は、中古パソコンを転売することではありません。一方の市場では処分コストになっている物を引き取り、状態に応じて完成品・部品・資源へ分解し、価値が残っている別市場へ流すことです。


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