商業施設の「屋外のごみ拾い」だけに特化し、月6万ドル規模まで育てた清掃事業

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元記事

記事タイトル
How I Started A $40K/Month Commercial Litter Cleaning Service

掲載サイト
Starter Story

著者・出演者
Brian Winch氏
CleanLots.com創業者

公開日
2020年3月31日

関連する更新記事
Starter Storyではその後も複数回の更新記事が掲載され、2023年の記事では月商6万2,000ドル、年間70万ドル超へ成長した事例として紹介されています。

元記事URL
https://www.starterstory.com/how-to-start-a-cleaning-service

記事内の売上、顧客数、成長実績などは、創業者本人の説明とStarter Storyの掲載情報をもとにしています。第三者による監査済みの数字とは限りません。また、Starter Storyは有料会員サービスや関連商品の販売を行っており、記事内には商業的な導線が含まれます。数値は参考事例として扱い、日本での収益性は地域、契約単価、人件費、廃棄物処理のルールなどによって変わります。

3分で要約

Brian Winch氏が始めたのは、一般的なビル清掃でも、家庭向けのハウスクリーニングでもありません。

商業施設の駐車場、歩道、植栽周辺に落ちている、

  • 紙くず
  • 空き缶
  • カップ
  • 包装紙
  • 吸い殻

などを、施設の営業時間外に歩いて回収するサービスです。

清掃対象を、建物の外に落ちている小さなごみだけに絞っています。

Brian氏がこの仕事を思いついた背景には、父親の副業がありました。父親は清掃員として働きながら、芝刈り、雪かき、商業施設の屋外清掃などを行っていました。

Brian氏自身も少年時代に、父親と一緒にショッピングセンターの周囲を歩き、駐車場や歩道のごみを拾った経験がありました。

21歳の頃、本業の収入や将来性に不安を感じたBrian氏は、少ない資金で始められ、特別な資格も必要としない事業を探します。

そこで思い出したのが、この屋外のごみ拾いでした。

最初に行ったのは、大掛かりな設備投資ではありません。

電話帳で不動産管理会社や物件管理会社を調べ、需要があるか電話をかけました。4〜5社ほどへ連絡した段階で、ある見込み客から3物件分の見積もりを求められ、最初の契約を獲得しています。

開始時に用意したのは、ほうき、ごみ回収用の道具、ごみ袋、自分の車などです。

1981年当時の初期費用は約250ドルだったと説明されています。

事業開始から6〜7週間ほどで、副業収入が本業の収入を上回り、仕事を辞めました。

その後、一人で年間10万ドル超を生む事業へ育て、さらに清掃作業を請負スタッフへ任せることで、複数物件へ展開しました。後年の更新記事では、約150物件を扱い、年間売上が50万〜70万ドル超の規模になったと紹介されています。

この事業の顧客は、商業施設そのものではなく、主に物件を管理する会社や管理担当者です。

管理会社にとって、駐車場に落ちたごみは小さな問題に見えます。

しかし放置すると、

  • 施設の印象が悪くなる
  • テナントから苦情が出る
  • 周辺住民から指摘される
  • 不法投棄が増える
  • 空室募集にも悪影響が出る

といった問題につながります。

一方で、通常の清掃会社へ大型車両や機械清掃を依頼すると、コストが高くなりがちです。

Brian氏は、人が歩きながら小まめに回収することで、大掛かりな機械を使わず、比較的低いコストで頻繁な清掃を提供しました。

しかも、単にごみを拾うだけではありません。

作業中に見つけた、

  • 照明の故障
  • 落書き
  • 建物の破損
  • 不法投棄
  • その他の異常

を管理会社へ報告しています。

そのため、サービスは清掃にとどまらず、物件管理担当者の「現地を見に行く手間」を減らす役割も担いました。長い顧客では、30年近く契約が続いた例もあると説明されています。

主要な収益モデル

中心となる収益は、商業施設ごとの定期清掃契約です。

基本式は、次のようになります。

1物件当たりの月額料金
× 契約物件数
− 作業人件費
− 移動費
− 保険・消耗品費

定期契約

一度だけの清掃ではなく、週数回、または毎日の巡回清掃として契約します。

ごみは一度片付けても再び発生するため、継続契約になりやすい仕事です。

複数物件契約

物件管理会社は、一社で複数の商業施設を管理しています。

一つの物件で信頼を得られれば、別の施設も任される可能性があります。

つまり、一人の担当者との関係が複数契約へ広がります。

作業の外注化

創業者自身がすべての施設を回るのではなく、地域ごとに請負スタッフを配置します。

運営者は顧客獲得、見積もり、品質管理、請求を担当し、現場作業を外部へ任せます。

ノウハウ販売

Brian氏は、長年の経験をもとに書籍や事業立ち上げ教材も販売しています。

地域の清掃事業から得たノウハウを情報商品へ変えることで、作業売上以外の収益源も作っています。

開始コスト

元記事では、1981年当時の初期投資は約250ドルでした。

ただし、現在の日本で始める場合は、当時よりも契約や安全面にかかる費用を見込む必要があります。

主な費用は次のとおりです。

  • ごみ回収用トング
  • ほうき、ちり取り
  • ごみ袋
  • 反射ベスト
  • 手袋
  • 懐中電灯
  • 車両または自転車
  • 賠償責任保険
  • Webサイト
  • 名刺、営業資料
  • 作業報告用のスマートフォン
  • 廃棄物の処理費

小さく検証するだけなら、既存の車やスマートフォンを使い、数万円程度から始められる可能性があります。

ただし、回収したごみをどこへ捨てるかは重要です。

施設の集積所を利用できる契約なのか、自社で事業系廃棄物として処理するのかによって、必要な許可や費用が変わります。

必要スキル

法人営業

最も重要なのは清掃技術よりも、物件管理会社へ契約を提案する力です。

個人宅向けではないため、顧客候補は比較的明確です。

  • 不動産管理会社
  • 商業施設管理会社
  • ビルメンテナンス会社
  • 駐車場運営会社
  • ロードサイド店舗の本部

などへ営業します。

見積もり能力

同じ駐車場でも、

  • 面積
  • ごみの量
  • 植栽の多さ
  • 清掃頻度
  • 移動距離
  • 夜間作業の可否

によって必要時間が変わります。

安く受注しすぎると利益が出ないため、現場を見て作業時間を見積もる力が必要です。

ルート設計

利益を左右するのは、清掃そのものより移動時間です。

一日に複数物件を効率よく回れるよう、近い施設をまとめる必要があります。

品質管理

作業結果が分かりにくい仕事なので、写真付きの作業報告や異常報告が重要です。

スタッフへ任せる場合は、

  • 巡回経路
  • 清掃範囲
  • 完了写真
  • 報告事項
  • 作業時間

を標準化します。

継続的な信頼構築

管理担当者は、作業を毎回見ているわけではありません。

契約が続くかどうかは、問題が起きた時の連絡、報告の速さ、安定した品質で決まります。

他人が見落としていたポイント

多くの人は、この事例を「ごみ拾いで稼ぐ仕事」と見ます。

しかし、顧客が買っているのは、ごみを拾った回数ではありません。

物件管理会社の担当者は、複数の施設を管理しています。

駐車場の紙くず、切れた照明、落書き、不法投棄を確認するために、毎日すべての物件を見て回ることはできません。

つまり、顧客が困っているのは、清掃作業そのものだけではありません。

現地の状態が見えないことです。

Brian氏のサービスは、ごみを回収すると同時に、物件の異常を管理会社へ知らせます。

これは単なる屋外清掃ではなく、安価な現地巡回サービスでもあります。

もう一つの見落としは、ごみ一つ当たりの価値ではなく、頻度です。

紙くず一つを拾うことに高い専門性はありません。

しかし、毎日決まった時間に、複数の物件を、長期間にわたって見続ける人は少ない。

価値があるのは難しさではなく、地味な仕事を継続して代行することです。

さらに、業務を狭く限定したことで、作業を覚えやすく、スタッフへ任せやすくなっています。

床清掃、窓清掃、芝刈り、除雪などをすべて受けるのではなく、「屋外の小さなごみ回収」に絞ることで、道具も手順もシンプルになりました。

他人は、駐車場に落ちたごみを見ていました。

しかし、この事業者は、管理会社が毎日確認できない商業施設の状態と、誰もやりたがらない反復作業を見ていました。

日本ならどう応用できるか

日本でそのまま「駐車場のごみ拾い」として始めることも可能ですが、単価を確保するには提供価値を少し広げた方が現実的です。

屋外巡回清掃にする

単なるごみ拾いではなく、次の確認をセットにします。

  • ごみ、吸い殻の回収
  • 不法投棄の確認
  • 照明切れの確認
  • 看板破損の確認
  • 放置自転車の確認
  • 植栽の異常確認
  • 駐車場設備の破損確認
  • 写真付き報告

顧客にとっては、清掃と簡易点検を同時に依頼できるサービスになります。

無人施設を狙う

日本では、常駐スタッフがいない場所の方が需要を見つけやすいでしょう。

例えば、

  • コインランドリー
  • 月極駐車場
  • コインパーキング
  • トランクルーム
  • 無人販売所
  • 太陽光発電所
  • 空き家
  • 資材置き場
  • 小規模商業ビル

などです。

写真報告を商品にする

作業前後の写真と異常箇所を、LINE、メール、専用フォームで報告します。

「きれいにしました」だけでなく、「今どうなっているか」を可視化することが契約継続につながります。

地域を狭くする

営業範囲を市区町村単位、または特定駅周辺へ絞ります。

遠方の1物件を取るより、同じ地域で5物件を取る方が利益率は高くなります。

管理会社の下請けから始める

直接契約だけでなく、ビルメンテナンス会社、清掃会社、駐車場管理会社から、屋外巡回部分だけを請け負う方法もあります。

既存事業者が受けたくない細かい案件を引き受ければ、最初の顧客獲得がしやすくなります。

5つの勝ち筋フィルター

① 中央値か、外れ値か

評価:★★★★★

清掃業は典型的な既存市場です。

しかし、建物全体の清掃ではなく、商業施設の屋外に落ちた小さなごみだけへ絞った点は外れ値です。

多くの事業者はサービスを増やそうとします。

この事例は逆に、仕事を狭く切り出すことで、営業、作業、教育を簡単にしました。

派手さがなく、SNSで注目されにくい点も、競争が激しくなりにくい理由になります。

② 古くからある市場か

評価:★★★★★

商業施設、駐車場、ごみ、施設管理は昔から存在します。

新しい需要を教育する必要はありません。

管理会社は、施設を清潔に保ち、テナントや利用者からの苦情を減らす必要があります。

景気が悪くなっても、施設が存在する限り最低限の管理は必要です。

③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか

評価:★★★★★

初期費用が小さく、在庫も店舗も必要ありません。

まずは一つの物件で、作業時間、移動時間、契約単価を検証できます。

契約が取れなければ、営業先、提案内容、対象施設を変えて何度も試せます。

一件の失敗で大きな負債を抱える可能性も低いでしょう。

さらに、契約が取れた後は定期収入になるため、失敗時の損失は小さく、成功時の収入は積み上がる構造です。

ただし、安い単価で受注してしまうと、動けば動くほど赤字になるため、見積もり精度が重要です。

④ 粗利益率は高いか

評価:★★★★☆

道具や資材の原価は小さく、設備投資も限定的です。

一方で、主な原価は人件費と移動費です。

一人で近隣物件を効率よく回れれば利益率は高くなります。

反対に、物件が離れている、駐車に時間がかかる、清掃頻度が低いと、移動費が利益を圧迫します。

粗利益率を高める鍵は、価格交渉よりも地域内の契約密度です。

⑤ 再現性はあるか

評価:★★★★★

業務内容は比較的単純で、標準化しやすい事業です。

  • 回る順番
  • 清掃範囲
  • 使用道具
  • 作業時間
  • 完了写真
  • 異常報告

を決めれば、他のスタッフへ引き継げます。

営業先も物件管理会社に絞れるため、顧客像が明確です。

ただし、経営者本人が現場品質を確認しなくなると、作業漏れや虚偽報告が起こるリスクがあります。

写真、位置情報、作業時刻などを使い、品質確認を仕組みにする必要があります。

どうなったら失敗するのか

最大の失敗条件は、清掃時間ではなく移動時間に利益を奪われることです。

1物件の作業が20分でも、往復に1時間かかれば採算は合いません。

物件を増やすほど忙しくなるのに、利益が増えない状態になります。

もう一つの死亡条件は、価格だけで比較されることです。

単に「ごみを拾います」と提案すると、既存の清掃会社、施設スタッフ、シルバー人材などと価格競争になります。

写真報告、異常発見、迅速な連絡まで含め、管理担当者の仕事を減らす価値を示さなければなりません。

また、何でも引き受けることも危険です。

顧客から、

  • 除草
  • 剪定
  • 雪かき
  • 粗大ごみ回収
  • 高所作業
  • 害虫駆除

などを頼まれ、その都度対応すると、必要な道具、資格、人員が増えます。

本来のシンプルな事業ではなくなり、事故や赤字の原因になります。

さらに、日本では集めたごみの扱いを曖昧にできません。

施設内のごみ集積所へ置けるのか、自社が運搬するのかを契約で明確にし、廃棄物処理に関するルールを確認する必要があります。

早期に確認したいKPI

1物件当たりの月間粗利益

契約金額から、人件費、移動費、消耗品費を引いて確認します。

1物件当たりの総所要時間

清掃時間だけでなく、移動、駐車、報告作業まで含めます。

1時間当たり粗利益

どの物件が利益を生み、どの物件が時間を奪っているかを比較します。

契約物件の地域密度

同じ地域に何件集まっているかを確認します。

契約数よりも密度の方が重要です。

見積もりから契約への転換率

提案が高すぎるのか、価値が伝わっていないのかを確認します。

契約継続率

定期契約が何カ月、何年続いているかを追います。

異常報告件数

照明切れや不法投棄など、清掃以外の報告がどの程度顧客の役に立っているかを確認します。

最初に取り組むアクション

最初に売る最小の商品

最初は「小規模駐車場の週2回巡回清掃」を一商品にします。

内容は次の程度に絞ります。

  • ごみ、吸い殻の回収
  • 不法投棄の確認
  • 照明、看板、設備の目視確認
  • 作業前後の写真
  • 異常時の即時連絡
  • 月次報告

除草、粗大ごみ撤去、設備修理などは別料金、または対象外とします。

最初の顧客候補

最初に営業する相手は、複数物件を持つ管理会社です。

  • 月極駐車場管理会社
  • コインランドリー運営会社
  • 不動産管理会社
  • 小規模商業ビル管理会社
  • トランクルーム運営会社
  • ロードサイド店舗本部
  • コインパーキング会社

一社から複数物件を受注できる可能性がある相手を優先します。

最初の集客方法

まず、自宅から車で15分以内の対象施設を30件リスト化します。

施設名から管理会社を調べ、電話またはメールで、

定期清掃では拾いきれない屋外のごみ回収と、写真付きの簡易巡回報告を提供している

と伝えます。

最初の電話で契約を迫るのではなく、担当者名と現在の管理方法を確認し、無料の現地確認を提案します。

現地確認後、清掃頻度別に2〜3種類の見積もりを出します。

投入する費用と時間の上限

最初の検証期間は30日とします。

費用は5万円以内、作業時間は合計30時間以内に制限します。

専用車両、事務所、高額な清掃機械は購入しません。

最初の目標は次のとおりです。

  • 見込み施設を30件調べる
  • 管理会社へ10件連絡する
  • 現地調査を3件行う
  • 見積もりを2件提出する
  • 定期契約を1件受注する

継続または撤退を判断する基準

30日以内に一件以上の定期契約を獲得し、移動と報告を含めた実質時給が目標額を上回れば継続します。

契約は取れるものの利益が出ない場合は、次のいずれかを見直します。

  • 清掃範囲を狭める
  • 頻度を上げて単価を調整する
  • 近隣物件をまとめて受注する
  • 写真報告を有料価値として明確にする
  • 最低契約金額を設定する

営業しても反応がない場合は、「清掃」ではなく「無人施設の巡回点検」「不法投棄の早期発見」など、訴求を変えます。

一件だけ遠方で受注できても、同じ地域に追加契約を取れないなら、エリアを見直します。

この事業の本質は、落ちているごみを拾うことではありません。

管理者が毎日見に行けない施設を代わりに巡回し、地味だが放置できない仕事を、安定して繰り返し引き受けることです。


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コメント

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