元記事
記事タイトル
After burning through his savings and going into debt, this founder built a $42k MRR portfolio
掲載サイト
Indie Hackers
著者
James Fleischmann
出演者・創業者
Rashid Khasanov
公開日
2025年10月31日
元記事URL
https://www.indiehackers.com/post/FGEm1BtZPZV9lqW4QptN
この記事では、投資家データベース「Angel Match」を中心に、複数のデータベース型サービスを運営するRashid Khasanovの事例が紹介されています。
取材時点で、Angel Matchの月間継続収益は3万7,300ドル、Investor Huntは4,557ドル、Journalist Huntは180ドル、SNS投稿ツールは491ドルでした。事業全体では月約4万2,000ドルです。いずれも創業者本人の申告であり、監査済みの数字とは限りません。
Indie Hackersには有料会員への導線があり、記事内から各サービスへのリンクも設置されています。成功事例の紹介であると同時に、商業的な導線を含む記事です。
3分で要約
Rashidは、以前に若者向けの投資アプリを立ち上げました。
しかし、運営には金融規制への対応や多額の開発費が必要でした。事業は失敗し、貯金を失ったうえ、クレジットカードの借金も抱えました。
その事業で特に苦労したのが、資金を出してくれそうな投資家を探すことでした。
投資家の情報は、ファンドの公式サイト、ニュース記事、SNS、過去の投資実績などに散らばっています。誰が、どの業界に、どの段階で投資するのかを調べるには、多くの時間がかかります。
そこでRashidは、各所にある投資家情報を集め、業種、地域、投資段階、投資家の種類などで検索できるデータベースを作りました。
最初の製品は不具合の多い小さなサービスでしたが、公開直後から売上が発生しました。データと機能を増やし、現在のAngel Matchには12万5,000人を超える投資家情報が掲載されています。検索だけでなく、投資家リストの作成、CSV出力、メール送信、資金調達CRMまで備えています。
集客では、投資家ごとのページを大量に作るプログラマティックSEO、無料計算ツール、ブログ、メール配信を活用しました。創業者によると、現在は多くの利用者が自然検索から訪れています。
主要な収益モデル
主な収益は、投資家データベースを利用するための月額課金です。
売上は、次の式で考えられます。
有料会員数 × 月額料金
関連サービスのInvestor Huntでは、投資家情報の閲覧、検索、リスト作成、CSV出力数に応じて複数の料金プランを設けています。2026年時点の年間契約換算では、月57ドル、97ドル、297ドルのプランが表示されています。月単位で利用し、必要な情報を取得した後に解約することも可能です。
利用者が支払っているのは、情報そのものだけではありません。
自分の事業に合う投資家を絞り込み、連絡先を整理し、接触状況を管理する時間を短縮するために払っています。
一度取得して終わる顧客も多いため、継続率を高めるには、情報更新、CRM、メール送信、進捗管理など、資金調達期間中に繰り返し使う機能が必要です。
開始コスト
最初から12万人分のデータを集める必要はありません。
Angel Matchも、2019年には約700人の投資家情報から始まり、現在の12万5,000人以上へ増えました。
最小構成なら、表計算、簡単な検索画面、決済機能があれば始められます。
費用よりも大きいのは、初期データを集め、表記をそろえ、重複や古い情報を取り除く時間です。
投資を増やすのは、有料利用者が現れ、更新作業や検索処理を人力で回せなくなってからです。
必要スキル
必要なのは、単なる情報収集力ではありません。
公開情報から必要な項目を抽出し、業種、地域、投資段階など、利用者が検索しやすい形に分類する設計力が必要です。
同じ人物が複数サイトに掲載されている場合の重複処理、転職や所属変更、連絡先の無効化にも対応しなければなりません。
また、情報を集めるだけでは売れません。検索画面、無料ツール、SEO記事、利用者の導線を作る力も重要です。
Rashidは非エンジニアですが、遠隔の開発者や小規模チームと組み、機能を追加してきました。
他人が見落としていたポイント
他人は、投資家の名前や連絡先を見ていました。
しかし、Rashidは、情報が散らばっていることで発生する探索時間を見ていました。
投資家の名前は、完全な秘密情報ではありません。ファンドの公式サイト、SNS、ニュース記事、登記情報などを調べれば、個別には見つけられます。
しかし、1人ずつ探し、投資対象や投資段階を確認し、連絡先を転記するには膨大な時間がかかります。
つまり、顧客が買っているのは情報の希少性だけではありません。
収集、分類、比較、確認、リスト作成という面倒な工程を省略し、資金調達の営業活動をすぐ始められる状態です。
さらに、データが増えるほど検索できる候補が増え、利用者も増えます。利用者が増えれば、改善要望や修正情報が集まり、データベースの価値がさらに高まります。
公開情報でも、整理の仕方に資産価値が生まれます。
日本ならどう応用できるか
日本で同じ投資家データベースを作る必要はありません。
重要なのは、公開情報が複数のサイトやPDFに散らばり、誰かが表計算へ転記している分野を探すことです。
たとえば、ホテル向けシステム、補助金、公売・競売物件、店舗閉鎖支援会社、金融機関の商品条件、自治体の入札、事業承継案件などが候補になります。
ただし、個人名、メールアドレス、電話番号を扱うデータベースには注意が必要です。
インターネットで公開されている情報であっても、個人情報保護法の対象外になるわけではありません。公開情報を収集して検索可能な形に整理すれば、「個人情報データベース等」に該当する可能性があり、利用目的の公表や安全管理などが必要になります。さらに、不特定多数へ個人情報を閲覧可能にする行為は、原則として本人同意が必要となる場合があります。
データベースを使った広告メールについても、原則として受信者の事前承諾が必要です。公開されているメールアドレスだから、自由に営業メールを送ってよいとは限りません。
最初は個人の連絡先を集めず、会社名、サービス内容、料金、対応地域など、法人・サービス情報を中心にした方が安全です。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★☆
公開情報を集めた名簿自体は珍しくありません。
外れ値になっているのは、11万件を超える情報を分類し、検索、出力、営業管理まで一つの業務フローにしたことです。
一覧ではなく、仕事を進める道具として販売しています。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
資金調達をする企業は、以前から投資家探し、紹介会社、イベント、専門家へ費用を払っています。
情報探索と営業先選定という古い問題を置き換える市場です。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★★☆
最初は数百件のデータと簡単な検索画面で検証できます。
対象業界、料金、検索項目、無料・有料の境界を変えながら試せます。
一方、個人情報や連絡先を扱う場合は、法令対応や苦情対応のリスクがあり、単純なコンテンツサイトより慎重な運営が必要です。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★★★
データを整備した後は、主な原価がサーバー、データ更新、開発、顧客対応です。
利用者が増えても、材料費や配送費は発生しません。
ただし、古い情報や誤った連絡先が増えると、更新人員が必要になり、利益率が下がります。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
収集項目、分類ルール、更新確認、重複削除は手順化できます。
検索ページや無料ツールを増やすSEO施策も、他のデータベースへ展開できます。
ただし、価値のある情報項目を見つけるには、その業界の実務理解が必要です。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、件数だけを増やし、情報の正確性を失うことです。
連絡先が古い、所属先が違う、対象条件が曖昧であれば、利用者はすぐに解約します。
次に危険なのが、最初から大規模なシステムを作ることです。
顧客がお金を払う検索条件が分からないまま、何万件もの情報を集めても資産にはなりません。
また、取得元の利用規約や著作権、個人情報保護、営業メールの規制を無視すると、削除要求や苦情、法的問題につながります。
早期に確認したいKPI
確認する数字は、検索回数、保存件数、データ出力数、情報の不達率、更新率、有料化率、月次解約率です。
特に重要なKPIは、利用者が実際に使える情報の割合です。
10万件あっても、多くが古ければ価値はありません。1,000件でも、目的に合い、正確で、すぐ使える方が強いデータベースです。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
一つの業界、一つの判断に必要な情報を100件だけ集めます。
たとえば、ホテル向けシステムについて、料金形態、対象施設規模、主要機能、連携可能な会計・予約システムを整理します。
最初の顧客候補
普段、複数の公式サイトや営業資料を見比べ、表計算へ転記している導入担当者です。
情報収集を外注したい人ではなく、比較と判断を早めたい人を対象にします。
最初の集客方法
最初は無料の比較表を公開し、ダウンロードした利用者へヒアリングします。
どの項目を調べるのが最も大変か、更新通知にお金を払うかを確認したうえで、有料版を作ります。
投入する費用と時間の上限
検証期間は3か月。登録件数は100件。初期費用は5万円以内とします。
独自システムを開発せず、表計算とノーコードの検索画面で検証します。
継続または撤退を判断する基準
無料利用者30人のうち3人以上が月額課金を希望し、毎月確認したい情報が明確になれば継続します。
利用者が一度ダウンロードするだけで再訪しない場合は、月額商品ではありません。買い切りデータに変えるか、更新頻度の高い別分野へ対象を変更します。
この事業の本質は、公開情報を集めることではありません。探し、比べ、判断する時間を、繰り返し短縮できる状態を提供することです。


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