元記事
記事タイトル
Hitting $25k+ MRR by making his goals less ambitious
掲載サイト
Indie Hackers
著者
James Fleischmann
出演者・創業者
Dmytro Krasun
公開日
2026年3月5日
この記事で紹介されているScreenshotOneは、指定されたWebページを自動で開き、画像やPDFとして保存する開発者向けAPIです。
創業者によると、公開から約4年で月間継続収益は2万5,000ドルを超え、有料顧客は800社以上になりました。これらは本人へのインタビューに基づく数字であり、監査済みとは限りません。
ScreenshotOneの公式発表では、2025年4月時点で年間継続収益20万ドル、有料顧客400社以上に達していました。その後も成長が続いたことになります。
元記事にはIndie Hackersの会員サービスやScreenshotOneへの導線があり、事例紹介であると同時に商業的な内容を含みます。
3分で要約
Dmytro Krasunは、10年以上の経験を持つソフトウェアエンジニアです。
以前は、より大きく、野心的な製品を作ろうとしていました。しかし、機能を増やし、市場を広げるほど、完成までの時間と販売の難度が上がります。
そこで方針を変えました。
ScreenshotOneが解決するのは、基本的に一つの作業だけです。
利用者がURLをAPIへ送ると、ScreenshotOneがブラウザを起動し、そのページを表示し、スクリーンショットやPDFを返します。利用者は、自社で大量のブラウザを管理したり、ページの読み込み待ち、広告、Cookie表示、画面サイズの違いなどへ個別に対応したりする必要がありません。
Webページのスクリーンショット取得は、人間が行えば簡単です。
しかし、毎日1万ページを決まった時間に取得する、ページ全体を切れ目なく保存する、異なる国から見た表示を記録するとなると、急に難しくなります。
ScreenshotOneは、この面倒な技術部分だけを引き受けました。
創業者は2022年5月にサービスを公開し、SEO記事、無料ツール、開発者向けの詳しい解説、顧客対応を積み重ねました。2024年3月時点では月間継続収益5,666ドル、有料顧客150社、月間約100万枚のスクリーンショットを追加処理していたと本人が報告しています。
一つの派手な機能で急成長したのではありません。
スクリーンショットが失敗する原因を一つずつ潰し、開発者が安心して自社サービスへ組み込める状態を作ったことが成長につながりました。
主要な収益モデル
収益の中心は、毎月利用できるスクリーンショット枚数に応じた月額課金です。
売上は次の式で考えられます。
有料顧客数 × 月額料金+上限を超えた利用回数に対する従量課金
現在の公式料金では、月2,000枚までのプランが17ドル、1万枚が79ドル、5万枚が259ドルです。上限を超えた場合は、1枚ごとに追加料金が発生します。
利用者が増えるほど作業依頼も増えますが、人間が一枚ずつスクリーンショットを撮るわけではありません。
サーバー上のブラウザが自動処理します。
顧客がScreenshotOneを自社システムへ組み込むと、簡単には乗り換えなくなります。APIの接続方法を変更し、出力結果を確認し直す手間が発生するためです。
その結果、月額収益が積み上がります。
開始コスト
物理的な店舗、在庫、配送設備は必要ありません。
必要なのは、サーバー、ブラウザを自動操作する仕組み、API、決済、監視、サポート窓口です。
ただし、一般的な情報サイトより技術的な開始コストは高めです。
Webページは、広告、動画、ログイン、Cookie表示、読み込みの遅延など、条件によって表示が変わります。大量のブラウザを安定して動かすには、一定の開発知識が必要です。
一方、最初から動画生成、複数地域対応、PDF変換などをすべて作る必要はありません。
指定URLを決まった画面サイズで画像にするところから始め、顧客の要望が多い機能だけを追加できます。
必要スキル
中心となるのは、ブラウザ自動操作、サーバー運用、API設計の知識です。
さらに重要なのが、失敗処理です。
Webページが開かない、読み込みが終わらない、ログイン画面へ移動する、画像が欠けるといった問題が起こります。
APIを利用する顧客は、成功時の機能だけでなく、失敗したときに何が起きるかを重視します。
また、開発者向けの製品なので、説明書、サンプルコード、エラー表示、問い合わせへの回答も商品価値の一部です。
創業者は自身のブログで、ヘッドレスブラウザやスクリーンショット取得に関する技術記事を継続的に公開しています。
他人が見落としていたポイント
他人は、Webページのスクリーンショットを簡単な機能として見ていました。
しかし、Dmytroは、企業がその簡単な機能を安定運用するために抱える面倒を見ていました。
1枚の画像を撮るだけなら、無料ツールで十分です。
問題は、その作業を自社サービスの中で何千回も繰り返す場合です。
ブラウザを起動し、ページが完全に表示されるまで待ち、広告やCookie表示を消し、適切なサイズにして保存する。失敗すれば再実行し、サーバーが止まれば復旧する必要があります。
顧客が買っているのは、スクリーンショットそのものではありません。
自社でブラウザ自動化の仕組みを作り、保守し、障害対応する負担をなくすことです。
API型事業では、小さな機能でも、顧客のシステムに組み込まれると重要なインフラになります。
日本ならどう応用できるか
同じスクリーンショットAPIを後発で作るより、日本の業務に残っている「小さな自動処理」をAPIとして切り出す方が現実的です。
たとえば、Webページを定期的に保存し、変更箇所を検知するサービスが考えられます。
ホテルや店舗の公式サイト、競合料金、キャンペーンページ、求人情報などを毎日記録し、前日から変更があった場合だけ通知します。
あるいは、店舗責任者が送った写真を、日付、店舗名、作業内容入りの報告書へ自動変換するAPIも考えられます。
重要なのは、大きな業務システムを作らないことです。
「指定URLを画像にする」「写真から報告書を作る」「PDFから特定項目を抜き出す」など、一つの処理だけを確実に提供します。
ただし、他社サイトを自動取得する場合は、対象サイトの利用規約、アクセス頻度、著作権、個人情報に注意が必要です。公開ページであっても、無制限に取得・再配布してよいとは限りません。
5つの勝ち筋フィルター
① 中央値か、外れ値か
評価:★★★★☆
スクリーンショット取得は珍しい技術ではありません。
しかし、複雑なブラウザ運用を一つのAPI呼び出しにまとめ、開発者向けインフラとして販売した点が外れ値です。
② 古くからある市場か
評価:★★★★★
企業は以前から、Webページの保存、監視、画像生成、PDF作成に時間と開発費を使っています。
新しい需要ではなく、自社開発されていた機能を外部サービスへ置き換えています。
③ 期待値1以上のサイコロを何度も振れるか
評価:★★★★☆
最初は一つの処理と少数の顧客で検証できます。
対象業務、料金、処理回数、出力形式を変えて試せ、物理的な在庫も残りません。
ただし、一定の開発技術とサーバー費用が必要で、一般的なコンテンツ事業より開始難度は高めです。
④ 粗利益率は高いか
評価:★★★★☆
人間の作業を伴わず、顧客数より利用回数に応じて売上を伸ばせます。
一方、ブラウザを大量に起動するため、サーバーや通信の原価が発生します。
低価格で大量処理を受けると、利用されるほど利益が減る可能性があります。
⑤ 再現性はあるか
評価:★★★★☆
一つの技術処理をAPI化し、利用量で課金する流れは再現できます。
ただし、安定性、処理速度、詳しい説明書、迅速なサポートまで含めて商品です。機能を作るだけでは、業務システムには組み込まれません。
どうなったら失敗するのか
最大の死亡条件は、処理を増やしすぎることです。
スクリーンショット、Web監視、データ取得、PDF変換、動画生成を同時に広げると、保守対象が急増します。
次に危険なのが、少数の大口顧客に依存することです。
大量利用する1社が解約すれば、売上だけでなく、余分に確保したサーバーも残ります。
障害が多い、失敗時の再処理がない、問い合わせへの回答が遅いことも致命傷です。
API型サービスは、便利さより前に信頼性を買われます。
早期に確認したいKPI
確認すべき数字は、有料顧客数、API利用回数、処理成功率、平均応答時間、1回当たり処理原価、月次解約率です。
特に重要なKPIは、処理1回当たりの粗利益です。
売上が増えても、サーバー原価や再処理が同じ割合で増えれば、資産型の事業にはなりません。
最初に取り組むアクション
最初に売る最小の商品
一つの入力を、一つの形式へ変換するAPIだけを作ります。
たとえば、指定URLを毎日1回撮影し、前日から変化があった場合だけメールで知らせるサービスです。
最初の顧客候補
競合サイトや取引先のページを定期的に目視確認している企業担当者です。
ホテルの料金、キャンペーン、求人、商品価格などを人間が毎日確認している業務が候補になります。
最初の集客方法
知人企業5社に、現在定期的に確認しているWebページがないか聞きます。
最初は対象ページを10件以内に限定し、手動確認と自動処理を組み合わせて、必要な通知内容を確認します。
投入する費用と時間の上限
検証期間は2か月。顧客は5社。開発期間は最大3週間。初期費用は5万円以内とします。
大規模な管理画面や多数の連携機能は作りません。
継続または撤退を判断する基準
5社中3社以上が週1回以上利用し、月額1,000〜3,000円を支払う意思を示せば継続します。
通知の多くが不要、目視確認の方が早い、誤検知が多い場合は対象ページや検知項目をさらに絞ります。
この事業の本質は、Webページの画像を作ることではありません。企業が自社で作り、保守したくない小さな技術処理を、必要な回数だけ安定して貸し出すことです。


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